5月19日に、このサイトの最初のインタビューに登場してくださった小和田香さんのシェアリビング「しょこらぼ」との共催で、”「働き方の未来」組織に所属しつつ わたしらしく生きる〜5人のパラレルキャリア実践者と考える”というイベントを開催しました。
『My desk and Team』としては初めてのイベント開催でしたが、幸いたくさんの方にお集まりいただき、「しょこらぼ」の素晴らしいおもてなしのおかげもあって、懇親会も含めてとっても盛り上がりました。ご協力およびご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
ここでは、イベントの流れに沿って、そこでどんなことが話されたかなどを、写真とともに紹介していきます。
オープニング→チェックイン
まず最初に小和田さんと私から、今回のイベントの開催趣旨や『My Desk and Team』というサイトをなぜ始めたかといったお話をした後、参加者全員から、お名前と「好きなこと」、「今日期待すること」を一言ずつ話してもらいもらいました。
参加者の傾向としては、イベントのテーマがテーマなので、ほとんどの方が企業にお勤めで、フリーランスで働いている方も少し。すでに会社の仕事とは別に熱心に取り組んでいることがあるという正に「パラレルキャリア」な方や、仕事をしながら自分らしく生きていくには…、今の仕事だけではなく他にも何かできないか…、と考え中の方など様々でした。
事例トーク→質問タイム
次に登壇者の皆さんから、それぞれの働き方や仕事について考えていることを話していただいた後、質疑応答を交えての対談へ。
事例を話してくださったのは、以下の5人の方々です。
刈内 一博さん(会社員/PDJプロジェクト等主宰)
学生時代の研究テーマであった「都市と農村とをつなぐ」という活動を、社会人になってからもやりたいと考えていた刈内さん。農村側の関係者からの信頼を築きつつ、会社に働きかけ、会社の業務として活動することになった、という経験を詳しく紹介いただきました。
また、主催する「PDJ-Lab(ポスト団塊ジュニア プロジェクト)」では、その成果を会社にも還元することで予算を獲得しつつ、プロジェクトの立ち上げにはプライベートな人脈を存分に活かし、社外の人たちにとっても面白い情報発信を実現させることができたそうです。
刈内さんが組織でやることを重視するのは、組織がもつ「お金」「人」「ノウハウ」「信頼(ブランド)」という4つの資源が活かせるからとのこと。でも、自分のやりたいことに会社を巻き込むというのは相当のバイタリティと作戦が必要でしょう。
具体的に刈内さんがやったこととして、はじめは会社の外から合意形成を進めて成果を作っていく、社外の関係者には組織人としてではなく個人として認めてもらい味方になってもらう、といった作戦を教えてくれました。
小和田 香さん(通信会社/国家公務員非常勤/しょこらぼ主宰)
“社内外の新しいつながりをつくり出す「シェアリビング しょこらぼ」”でご紹介した小和田さんは、健康上の理由で以前のような働き方ができなくなったとき、どのような発想の転換をし、今の働き方と生活スタイルを見出したのか、というところを詳しくお話ししてくださいました。
できないことがあっても組織に必要な存在となるためにはどうしたらよいか、できないことを他の手段で実現する工夫はないのかを考えぬいた、会社の人事評価ではなく社会にとって何ができたかで自分を評価することにした、というお話が印象的でした。
長山悦子さん(サイボウズ、ヤドノマド→青年海外協力隊(予定))
“「育自分休暇制度」で海外ボランティアへ”でご紹介した長山さんは、サイボウズが優秀な人材に長く働いてもらうために様々な新しい人事制度を導入してきたこととその効果について詳しく説明してくれました。(参考:内容や数値的な効果については、サイボウズさんのこちらの記事がとても詳しいです。→なぜサイボウズは、働く「時間」と「場所」の制約をなくせたのか?(前編) | サイボウズ式 )
これらの制度は本当に効果をあげているようで、「(会社が)自由すぎて辞める理由がなくなっちゃう」という長山さんの言葉が印象的でした。
また「パラレルキャリア」については、「国や地域を問わず、いろんな人の“やりたい”を形にすること」が興味や行動の源泉にあり、それが会社の仕事であるかボランティアであるかといったことは特に区別していない、というスタンスを話してくれました。
田名辺 健人さん(欧文印刷)
“子どもにふるさとを 〜会社を辞めないUターン〜”でご紹介した田名辺さんは、札幌のご自宅からSkypeで参加してくださいました。
さすが、毎日遠距離でのコミュニケーションをとりながら仕事をされているだけあって、Skype経由でもとってもスムーズなプレゼンでした。
1年半ほど札幌での在宅勤務をやってきて、技術的、コスト面での敷居は本当に低い、課題は人(本人、上司・同僚、家族の理解)や制度にあるということを実感しているとのこと。認知度があがれば、やってみようという組織も増えてくるはずだから、積極的に情報を発信していきたいということで、今回も快くご協力いただきました。
野澤 健さん(エコネットワークス)
“「個」と「組織」の、強くて新しい結びつきかた”でご紹介した野澤さんからは、会社としては経営者3名のみという小さな組織ながら、海外も含めた50人程度の専門家たちとチームを作り様々なプロジェクトを進めている中、大事にしていることや苦労している点などを話してもらいました。
一緒に仕事をする個人それぞれが生活の基盤をもっていることが大事だと考えているから、エコネットワークスの仕事だけで食べていこうとは思わないでほしいと言っている。それは、必ずしも複数の収入源をもつということではなく、食べ物を生産したり近所付き合いをするなど、仕事以外にも日々の生活の安全につながることがあるので、そういうノウハウの共有も含めてお互いの自立を促していきたいという話が印象的でした。
質問タイム
事例トークを聞いた参加者の皆さんからは、以下のような質問が挙がりました。
- 地域活性の活動で都会から地方に行くことに対して、地方の側から理解が得られないということはないか? どういうメリットを訴えるのか?
- 会社で働きながら、個人的な活動をするための時間のやりくりはどうしているのか?
- 遠隔でのコミュニケーションを取ろうとした時、インターネットがうまく使えない相手とのコミュニケーションはどうしたらよいか?
- 個人に仕事を発注しようとする会社がまだ少ない中で、個人ができる仕事を作ることに苦労していないか?
- 皆さんそれぞれの働くモチベーションは?(自分が楽しく生きることなのか、それとも社会を変えたい、というようなことなのか)
参加者全員でのセッション→チームごとの発表
休憩を挟んで会の後半は、参加者全員でのセッションです。
グループ分け
まず、皆さんに自分が話しあってみたいことのキーワードをふせんに書いてもらい、それをグルーピングして、以下の4つのグループを作りました。
A.働き方
B.会社の動かし方
C.バランス
D.組織(の視点での今後)
グループディスカッション
グループでのディスカッションは、「話がつきない!」という感じて、とっても盛り上がっていました。
各グループから発表
A(働き方チーム)
会社員にしろフリーランスにしろ、将来的には収入の不安定さや、自分で仕事を選ぶ余地がなくなるのではないか、といった不安がある。
パラレルキャリアは、そういった不安を軽減するセーフティネットとしての効果や、個人としての幸せを満たすという利点があるのではないか。
それを実現するには、この社会を変えていく必要があるが、そのためにはまずはアーリーアダプター層を動かしていくのがいいのでは。
B(会社の動かし方)チーム
古い体質で動かしづらいような組織をどう動かすかを考えた。
個人で孤軍奮闘していても難しい時に、組織内に同じ思いを持った仲間を作れば実現しやすくなる。
外のメディアに出るなど外部の人とつながり、外から評価されることで、社内からの評価を引き出す。
会社にとってのメリットをどう打ち出すかが重要。
会社のルールにはグレーなところがあって、グレーなところを全部確認していくとNGと言われる可能性が高い。そういうときはまずはやっちゃう、というのも手。
会社員のモチベーションが昇進・昇給だったところから、今は変わってきているので、そんな中で組織の生産性を高める方法も変わってきている。
C(バランス)チーム
「バランス」というテーマだが、バランスにもいろいろある。例えば、仕事、気持ち、場所、時間など。
それらは制約があるものとないものに分けることができる。
例えば制約がないものは「気持ち」。本業と副業があるときに、気持ちのバランスをどうとるのか。全く違うことを2つやるというよりも、根源的な部分、自分のコアになっているところが本業でも副業でもつながっていれば、バランスがとれているといえるのでは。
一方、「時間」はどうしても配分しなければいけない。そこでは優先順位を決めて「あきらめる」ということも必要になる。
本業と副業だと成果の出し方も違ってくる。副業の方がすぐに成果が見えにくい場合もあるが、そういう場合は副業は長い目で見るなどで、バランスがとれるのではないか。
D(組織)チーム
変化する社会に対応出来る個人、そして企業になるためにはどうすればよいか?
多様な働き方を需要する組織になることが必要。
失敗を恐れると、みんなチャレンジできなくなってしまうので、失敗を許容すること。また、失敗を個人としてではなく会社として活かせることが重要。
社内で「変えていこう」と言ってもなかなか聞く耳を持たれないのに、外部のコンサルから言われると聞く、ということもある。まずは外部の声を取り入れる形でもいいから変えていき、最終的には社内の人同士が「こうしたら、ああしたら」と対等に言い合えるような関係性に。
成功体験がきっかけになる。例えばここに集まっているような個人が何かをやって、その成果を事例として企業に訴えていくことで、変わっていくんじゃないか。
そういう変化ができない企業はつぶれる。
チェックアウト→懇親会
最後に、全員からひとことずつ「これからの私」について話してもらい、会を終了しました。
懇親会は、東北復興応援というコンセプトで東北の食材を使用した実に10種類以上の絶品メニューを用意いただきました!
おいしい料理に舌鼓を打ちながら、さらに働き方について深いお話を続けていらっしゃる方も多数…。
このイベントを通じて、理想の働き方に対して企業側の制度や今までの働き方の文化という壁を感じている人がまだまだ多いけれども、なんとかしたいと思っている人も沢山いる。そういう意味では、変化の時がきているな…、と感じました。
私もその変化の一助となるように、これからも情報発信を続けていこうと、改めて元気づけられた一日でした!

懇親会の終盤になるまで集合写真を忘れていたため、先に帰られた方は写ってなくてすみません…。
☆☆
文/やつづか えり 撮影/岩間 達也

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