先日、”「もし、働き方が選べるとしたら?」企業人にとっての未来のテレワークとコワーキング”というワークショップイベントに参加してきました。
「もし、働き方が選べるとしたら?」、なかなかドキッとする問いじゃありませんか。
今すでに働いている状況だと、現状を前提に「こうなったらいいな」「でも難しいな」なんて悩んだりするわけですが、「選んでいいよ」と言われたらどういう働き方を選ぶのか、「選べる」状態にするには何が必要なのか…。
イベントは、ユニークな働き方を創りだしてこられた4人のゲスト(そのうちひとりは、このサイトの最初に登場していただいた小和田さん!)のプレゼンテーションと対談を聞いた後、全員参加のワークショップで、今後実現したい働き方のアイデアをまとめる、という形で進められました。
サブタイトルに「企業人にとっての」とあるように、特に組織に所属しながらもっと働き方の選択肢を増やすにはどうしたら?というところにフォーカスがあてられており、平日の昼間にも関わらず、会社員の方も結構いらっしゃいました。正に「My Desk and Team」が追究していきたいと思っていることについて問題意識を感じている人は多いんだなぁ、と思えてうれしかったです!
本職があるからこそ、好きなことができる
ゲストの方々のお話はそれぞれ、既成概念にとらわれず合理的に、周囲も自分もHappyな働き方を実現してこられてきている様子がわかってとても面白かったです。
私が特に印象に残ったのは、ツクルバの中村真広さんのお話。
渋谷のco-baを初め、素敵なコワーキングスペースを次々にプロデュース・運営されている中村さんは、起業前は会社員として働いていました。
その会社員時代に、湘南逗子で廃棄されるヨットの帆をカバンなどにリサイクルして売る「アップサイクルプロジェクト」を初めたり、仲間と共同でカフェを作って運営したり、ということを仕事でなく個人の活動としてやっていたそう。
こういう話を聞くと、「本業も忙しかっただろうに、すごいバイタリティだなぁ。大変だっただろうなぁ」というような感想を持ちがちですが、中村さんは、「本職があるからこそ好きなことが自由にできてよかった」と言います。
つまり、お金を稼ぐことは会社員としてやっているからそれ以外の活動はたとえ儲からなくたっても良いし、誰かに出資をしてもらっているわけでもないのだからノーリスク、その分おもいっきり自由にやりたいことをできるんだ、という考え。
逆転の発想ですが、確かに…。
本当にやりたいならやってみよう(それが仕事であろうとなかろうと)
中村さんの話を聞いていて、少し前に読んだ「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)という本のことを思い出しました。
小説家の森博嗣さんによる仕事についてのエッセイで、森さんが若い人からよくもちかけられる相談への回答集や、「そもそもやりがいって何か」という考察なんかがとても面白いです。
この本の中に、「仕事が忙しくてやりたいことができない」という相談をよく受けるけれども、真にやりたいことであるならば何としてもやっているはずで、そうでないならそれほどやりたいことではないのでは?といったことが書かれています。
本当にやりたかったら寝る間を惜しんでもやるでしょう、やりたいことをやるためにもっと時間や資金が必要なら、そのために仕事を変えることも「やりたいことをやる」のうちでしょう、と…。
森さんならではの突き放した回答ですが、一理ある…。
今回の4名のゲストの方たちは、正にそういう工夫で、理想の働き方と生活に近づく努力をしてきた方たちでした。
そしてグループワークでみんなで話しながら思ったのは、そうは言っても、みんなが森博嗣さんみたいにクールに行動するのはなかなか難しい。社員が(プライベートなことも含め)新たなチャレンジをしたくなったときに、それを許容できるような柔軟さが組織の側にもあれば、一歩踏み出せる人は多いだろうな〜ということ。
中村さんの場合は、カフェを作ったことで次の仕事の方向性が見え、カフェの仲間の一人と起業されています。つまり、やりたいことがいつの間にか次の仕事と生き方につながった例。森博嗣さんの場合、大好きな趣味はあくまで趣味、仕事はその趣味を楽しむための資金を得るためのものと割り切っています。
どちらもありで、「やりたいこと=仕事」でなくても、「やりたいことができている。仕事はそんな私になくてはならないもの」と納得できているかどうかが、幸せに働けているかどうかの重要なバロメーターと言えそうだな、とも思いました。

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