My Desk and Team

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co-meetingさんに聞く、分散型チームの仕事術

2013/03/11   更新:2018/11/30

木村さん

Profile

木村 篤彦 Kimura Atsuhiko
株式会社co-meeting 代表取締役CEO。1978年、東京都生まれ。京都大学工学部卒。
株式会社ビーコンITで10年間システムエンジニア、プロダクトマネージャーなどを務め、多くの新規プロダクト開発に関わる。2010年、個人で開発したWebサービスであるマルチソーシャルメディアクライアント「Crowy」がMashup Awards 6で二つの賞を受賞。現在は4万人が利用するサービスに成長。2011年、4人の仲間と株式会社co-meetingを設立。よりよい仕事環境を実現するべくグループコラボレーションツール「co-meeting」を開発・提供している。
妻と小1の長女の3人家族。家庭と仕事を両立できる働き方を探求中。

矢野さん

Profile

矢野 貴明 Yano Takaaki
株式会社co-meeting 取締役COO。1976年、埼玉県生まれ。
芝浦工業大学システム工学部卒。
株式会社ビーコンITにて、マーケティング、PR、プリセールス、R&D、フィールドサポート等、部門・役割を問わず、ソフトウェアビジネスに関連する大半の業務に従事。2011年、株式会社co-meetingを設立、2012年1月より現職。情報管理/共有やコラボレーションツール、働き方について考えるのはほとんど趣味で、代表の木村と同様1児の父であることから、フルコミットで働けない中での仕事の効率化やありようについて常に模索中。

株式会社co-meetingは、「co-meeting」というWebサービスを開発し、企業や個人に提供しているITベンチャーだ。

4名いる会社のメンバーは、それぞれ別々の場所で仕事をしていて、お互いのコミュニケーションに「co-meeting」を活用している。

今回は、代表取締役CEOの木村篤彦さん、取締役COOの矢野貴明さんに、新しい働き方をサポートするツールを提供する立場から、時間や距離を超えた分散型チームでの仕事のコツについてお話を伺った。

取材はチャットで

先日コミュニケーションの変化による働き方の変化の予感にも書いたが、このインタビューもco-meetingを使って行った。

最初の打ち合わせは時間を合わせてco-meetingにログインし、リアルタイムにチャットでやり取りをした。その後、あらためてこちらからたくさんの質問を投げかけさせてもらい、その際はリアルタイムではなく、おふたりの時間がある時に回答を書き込んでもらう形式をとった。

以下はテキストチャットでのインタビューを再構成した内容になる。

株式会社co-meetingの働き方

co-meetingの4人は、元々同じ会社で働いていた。それぞれ前職の仕事をしながら起業準備を進めていた時期は集まる時間をとるのも難しく、オンライン上で連絡や議論をするようになったのは自然な流れだったという。

最初はSkypeやメール、社内SNSのYammerなどを使っていたが、試行錯誤を続けながら、最終的には使いやすいツールを自ら作ってしまった。それがco-meetingである。

矢野さんいわく、遠隔コミュニケーションの方法を追求する過程で、「どんどん、一緒にいなくても仕事ができるようになった」。その流れで、会社設立後も全員集まるオフィスはもたず、各自が自分で選んだ場所で仕事をするスタイルで、今にいたっているという。

ちなみに、今回写真撮影のために訪問し、おふたりと筆者が初対面したのは、矢野さんがいつも仕事をしているSTARTUP Base Campというシェアオフィスだ。

木村さんは、状況によって自宅、カフェ、コワーキングスペースで仕事をしていて、利用しているコワーキングスペースで「偶然」他のメンバーと会うこともあるそうだ。

分散型チームの仕事のコツ

1.目的に応じたコミュニケーション手段の使い分け

通信インフラや便利なツールのおかげで遠隔でも仕事はしやすくなってきてはいるが、チームでの仕事をうまく進めていくために、何かポイントはあるのだろうか?

「用途に応じたコミュニケーション手段を、明確に決めておくことだと思います」と矢野さん。

内容や緊急度に応じて、例えばco-meetingの場合は以下のようにツールを使い分けているのだそう。

  • 平時の仕事内容に関するコミュニケーション → co-meeting
  • 時間調整や事務連絡など呼びかけに近い連絡 → Facebookグループ、メッセージ
  • 緊急時の連絡 → Facebookメッセージを経て、それでも繋がらなければ電話

木村さんは、「電話やチャットをできるだけ使わないのもポイントかもしれません」と言う。

「同じオフィスにいれば空気が読めるので、明らかに忙しそうなときは遠慮して話しかけませんが、電話やチャットは空気が読めないので、相手がどんな状況だろうと相手の時間を拘束します。これは大きなデメリットです。
co-meetingの場合は、時間をおいて返信することもできるし、都合がよいときはリアルタイムに話すこともできるので、ちょうどいいバランスのツールになっていると思います」

相手の様子が見えないからこそ、常に相手と繋がれることが最善とは限らないのだ。

他には、Googleカレンダーなどを使って各自のスケジュールを明確にしておくことも、互いの状況を把握し、スムーズに仕事を進めるのに有効だという。
interview1

2.相互の信頼と、積極的な情報共有

2つ目のポイントは、互いに信頼できている状況を作ること。

信頼関係ができていない状況では、互いの様子が見えない中で「仕事をしているのかどうか」という疑心暗鬼にかかってしまう。

矢野さんによれば、「自分のやっていることを共有することの壁さえ越えてくれれば、後は大丈夫。仕事の状況が見えることによる信頼関係はそれなりに強いです。初めて数日で大体わかります」とのこと。

でも、せっかく良いツールがあっても、チームのみんながそれを使うことが徹底されなかったり、各自が自分の状況を発信する習慣がなかったりする場合はどうすれば良いだろう?

「最初は、チーム内のキーマンを中心に強制力を働かせる必要があると思っています。
強制力を働かせるには、『このツールを使え』と言うだけでなく、業務遂行上のキーマンとのコミュニケーションが、そのツールを使わないとできないような状況をつくることですね。メールでキーマンに質問しても、キーマンはco-meetingでしか対応しない、みたいな感じです。それを繰り返していくと、操作性はそういった新しいツールの方が優れているため、自然に定着していきます」(矢野さん)

「大雑把に分けると、仕事には、チームでコミュニケーションしないとできないものと、単独である程度動けるものの、2種類があるかなと。
情報共有やコミュニケーションをしないと進まない仕事の方が、遠隔でも自然にコミュニケーションが発生するのでうまく行きやすいんじゃないかと思います。
なので、会社が大きくなって社員が増えた場合は、そういった仕事が多い部署などで信頼関係を増してから、単独で進めやすい仕事の比重を増やしていくような広げ方がいいのかもしれません」(木村さん)

一般的には、ひとりで進めやすい仕事の方が分散型チームに向いているとみなされそうだが、むしろ多くのコミュニケーションが必要とされる業務の方が、遠隔でやっても問題が起こりにくいのでは、というのは面白い考え方だと思う。

それから、信頼感の醸成やチームワークを高めるために、時々は実際に会って話す、仕事とは関係のない話をする、ということも有効だ。

co-meetingの場合は、月に1度は全員が顔を合わせる機会をもっている。そのときは、事務連絡や進捗報告よりも、チームにとって今何が重要かといった、互いのベクトルの方向を合わせるような話をすることが多く、そういう機会をもつことは大事だと感じているそうだ。(ただ、会議室でやらず、いきなり飲みに行ってもいいんじゃないかと、最近考えているそう)

海外向けの対応をお願いしているニュージーランド在住のスタッフとも、リアルに会うことこそできないものの、時々時間を合わせてリアルタイムチャットをする。そのときは仕事の話以外に、雑談やプライベートな話もして、互いの理解を深めているという。

テキストベースのコミュニケーションのコツ

オンラインで文字でコミュニケーションする場合、対面や音声でのやり取りと比較して気持ちが伝わりにくい、ということが課題に思える。

しかしこの課題は、co-meetingの、特にリアルタイムにチャットをしている状況ではかなり解消されるようだ。

「文章を書くスピードによってもある程度感情が見えます。殴り書きのように一気に書けば、多少怒りを感じますし。言葉を選びながらゆっくり書いているように見えれば、冷静に考えをまとめながら書いていると判断できます。また、誰かが書いている最中に割って入ってコメントをしたりとか、感じられる操作は多々ありますね。」(矢野さん)

メールやチャットで、入力した文章を送信前に読みなおし、きつく感じる表現をオブラートにつつみ直す、という経験は誰にでもあるのではないだろうか?

「co-meetingの場合、入力途中の状況も表示されるので、思わず書いた、包む前のも見えたりしちゃいますね。
書いてからオブラートに包むこともけっこうあって、それが見えるのも配慮してることが伝わって良いとは思うのですが…」(木村さん)

配慮してくれていると感じられるかどうかは、元々相手を好意的に思っているかどうかにもよりそうだが、タイピングの過程が見えることで、相手の感情が読み取りやすいのは確かだ。

それでも、表情が見えないと分からないことはあるだろう。

「テキストで会話していて感情面で気になることがあったら、テキストで、『怒ってんの?』とか『どういう思惑でそれ書いているの?』とか聞きますね」(矢野さん)

時間が経つにつれ、新しいコミュニケーション方法に慣れ、伝わりやすい書き方がうまくなるということもあり、co-meetingのメンバーも、だんだんやり取りがスムーズにできるようになったという。

分散型チームは寂しい?

在宅勤務のような働き方の課題としてよく聞くのが、仕事の相談ができる人が回りにいなかったり、単に雑談する相手がいないなど、「孤独になりがち」だということ。

しかし、矢野さんも木村さんも「寂しい」と感じることはないようだ。

ひとつには、オンライン上で雑談ができる、ということがある。

事例にもなっていただいているGMOメディアさんの使い方を真似たものなんですが、『たあいのないスレ』というたいしたことのない話やジャストアイデアとかを書く場所を用意しています。
仕事に疲れてそこを見るとなにかしら書いてあることが多いので、それに反応したり、ほんとに会話したい場合であれば、無理矢理引き込んだりすることもありますしね」(矢野さん)

また、コワーキングスペースを利用すれば隣の人と雑談することもできる。

木村さんの場合は、気分や天気で働く場所を切り替えているそう。

「日々試行錯誤はしていますよ。
開発がちょうど波に乗っていたり、開発以外の仕事で家でできそうなとき:家
メインの仕事場:コワーキングスペース
とにかく開発に集中したいとき:カフェ
こんな感じですね。
家が一番楽ですが、だらけやすいので、仕事が乗っている時などは家で。雑音入れずにとにかく開発したいときはカフェへ。カフェは長時間居づらいので最終手段です。
メインがコワーキングスペースなので寂しくはないです。メインと言っても時間的には1:1:1くらいです。気分的なメインですね」(木村さん)

その時の状態で一番はかどりそうな場所を選べる、というのは固定的なオフィスを持たない、大きな利点ではないだろうか。

「あたりまえ」が変化し、働き方も変わっていく

interview2
このように、co-meetingの皆さんはそれぞれが別々の場所で働くという新しい働き方を実践している。

チーム内のやりとりだけでなく、営業活動もオンラインを活用して行なっていて、有償版のco-meetingのユーザー企業のうちの半分くらいは、すべてオンラインでのやり取りのみ、一度も会わずに成約に至っているそうだ。
無料版のco-meetingを元々使っていたお客さんだから話が早い、ということもあるだろうが、ポイントは「レスポンスのスピード」と「コミュニケーション量」にある。

有償版に興味を持ったお客さんから問合せがあると、矢野さんたちが即座に反応し、co-meeting上でライセンスや有償版の機能、お客様の用途とそれをco-meetingを利用してどう実施するかについてなどのやり取りが行われる。

「お客様が質問をしたいと思ってから返信があるまでのタイムラグがないため、お客様の思考も分断されにくいのだと思います。あまり間があくと質問した内容も忘れますからね。また、早いレスポンスのサポート自体に感心して頂いて、それが理由で決断してもらっているケースもあります」(矢野さん)

営業担当者が客先に出向いて話をするとなると、それだけで何日も経過してしまうが、オンラインでのやり取りであれば、早い場合は朝問い合わせがあり、夕方には成約に至ったこともあるという。

こういった話を聞くと、分散型チームでできる仕事が、まだまだたくさんありそうな気がする。

だが、co-meetingのユーザーを見ると、みんながオフィスに出社して働くスタイルの企業がまだ多いそうだ。

それでも、状況は少しずつ変わっていくだろう、というのがふたりの考えだ。

「co-meetingに慣れてくると、理屈だけではなく体感として、時間や場所は関係ないんじゃないかと思えるようになると思うのですよね。なので、仕事のスタイルを無理に変えなくてもいいと思っています。使ってさえくれれば。
そうすれば、既存の『あたりまえ』が自然と変化してくるので、今後の外部環境の変化にも対応できるような組織が企業内に出来上がってくると思っています。遠回りですけど」(矢野さん)

みんなの考え方が変わってくると、以下に挙げるようなことが、そんなに難しいことではないと思えてくるという。

  • どこに住んでいる人とも仕事ができる
  • どんな時間軸で働いている人とも仕事ができる
  • 働く人のライフスタイルを守る
  • 家庭を大事にできる
  • 体を大事にできる
  • フルタイムで働けなくても活躍できる
  • 遠隔で働いていても寂しくない
  • 新しい雇用を創出できる
    etc…

「仕事を充実させ人生を豊かにする」という企業理念を持つco-meetingさんの周りで、今後新しい働き方が生まれてくることを期待したい。

取材・文・撮影/やつづか えり

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