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米Yahoo! の在宅勤務禁止は、大企業病の荒療治?

2013/03/02   更新:2018/11/30

先週、アメリカのYahoo!が社員に対し、在宅勤務の禁止という方針をアナウンスしたことがニュースになりました。

アメリカでは、かなりの議論が巻き起こっているようです。

例えばCNNやNew York Times、TIMEなど、大手メディアがそれぞれの考察や専門家の意見を報じています。それ以外のWebメディアなどでも、探せばものすごくたくさんの記事が出てきますよ。

CEO マリッサ・メイヤーの真意は

このニュースを知ったとき、インターネットの世界を切り開いてきた会社のひとつであるはずのYahoo!が、そして、あのGoogleからやってきた女性CEO マリッサ・メイヤーが、随分時代遅れな考え方をするもんだ、とびっくりしました。

ですが、「これは在宅勤務に対する業界の一般的な考え方ではない。この件の本質は、今のYahooにとって正しいことは何なのか、ということだ」というYahoo!のコメントもあり、メイヤーCEOは在宅勤務がダメだと信じているわけではなく、今のYahoo!では社員を会社に来させること(あるいは来られない社員を辞めさせること?)が必要だと判断したんだろうなぁ、と思えてきました。

この記事はそういう視点で書かれていて、なるほどね〜という感じです。

 在宅勤務を禁止するメイヤーCEOの措置は、Googleとは比較にならない差をつけられてしまったYahooは、もはや凡庸な人間しか集まっていない集団になり下がったのだという、強烈なメッセージであり、荒療治の一貫なのであろう。

米Yahooが社員に在宅勤務禁止を通達。自由といわれる米IT企業の本当の姿とは? | ニュースの教科書

まったくの想像ですが、GoogleからやってきたメイヤーCEOには、Yahoo!はすっかり大企業病にかかっていて、創造的な文化が消えて社員のモチベーションも低い、ひどい状況に見えているのでしょう。

それをなんとかするために、無料のカフェテリア、社員へのスマートフォンの支給、週に1度の全員参加ミーティングといったGoogleスタイルを取り入れたけれど、もっとGoogleみたいに「優秀な社員達が集まってワイガヤしながら熱くに仕事に取り組む」という文化を作るためには、全員出社! そのくらいの荒療治を取り入れないとダメだ! となったのではないでしょうか。

荒療治に持ち込まざるをえなかった理由は

これまで広く適用してきた在宅勤務制度をいきなり止めるというのは正に荒療治。副作用も出るはずです。

週に何度かという形ではなく常に在宅で働いている人も相当数いるようなので、「これからは出社せよ」と言われても居住地や家庭の事情で従えない人たちもかなり出てくるのでしょう。

そうでなくても、在宅勤務ができるという条件を重要視して入社した社員だったら、今回のことで辞めるか、残ったとしてもさらにモチベーションを下げるかもしれません。

また、メイヤーCEOは常々、自分の最も大事な仕事のひとつは優秀なエンジニアを雇うことだと言ってきたそうですが、在宅勤務禁止が採用の幅を狭めてしまうことも考えられます。

それでもこんな荒療治をしなくてはいけなくなってしまったのは、なぜか。

これは在宅勤務制度を濫用する怠惰な社員と優秀な社員を見分けるテストで、パスした社員は信頼を得て自由な働き方を許されるようになるだろう、とWIRED(英語)は書いています。

そう、信頼できる社員なら、在宅勤務でもなんでもいいはずなんです。

確かに、毎日オフィスで顔を合わせておしゃべりすれば、いいアイデアが生まれたり会社が活気づくかもしれない。

だけどそれは、今の時代ならオンラインでもある程度できるのです。

ただし、条件が整えば。

条件というのは、事前に社員の信頼関係が築けているか、オンライン上でも活発なコミュニケーションを生み出すための方針や工夫がされているか、といったこと。

例えば以前に取材させてもらったソニックガーデンの伊藤さんの場合だと、今は完全に毎日在宅勤務ですが、会社に入社した当初だけは毎日出社してOJTを受けていますし、そもそも入社前の採用のフェーズから他の社員とも知り合う機会があったということです。

在宅勤務をうまく行かせるためには、そういった信頼づくりや会社のルールや、文化を理解する過程が最初に設けられていることが重要なポイントになると思いますが、Yahoo!ではそういった前提を置いてきぼりにしたまま、在宅勤務という制度だけがどんどん濫用されるような状態になってしまったのかもしれません。

だから、これから改めて、信頼づくりや文化の醸成をやり直すわけですね。

この仕切り直しがはたしてうまくいくのかどうか…? 今後も見守りたいと思います。

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