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社員への信頼、社員からの信頼

2013/01/29   更新:2018/11/30

「社員をサーフィンに行かせよう」の真意

先日、Well-being Lab.が主催するイベントでパタゴニア日本支社長の辻井隆行さんと、店舗で働くふたりのスタッフの方のお話を聞きました。

パタゴニア日本支社長 辻井隆行さん

パタゴニア日本支社長 辻井隆行さん

登山やサーフィンなどのアウトドア用品のブランドとして知られるパタゴニアの経営理念はとてもユニーク。創業者のイヴォン・シュイナードは『社員をサーフィンに行かせよう — パタゴニア創業者の経営論』という本を出版しています。

「社員をサーフィンに行かせる」ってどういうこと?と思いますよね?

なんとパタゴニアでは、社員はたとえ仕事中でもサーフィンしに行っていい、という考え方があるのです。

「サーフィン」は一例で他のスポーツでも良いのですが、アウトドア・スポーツを愛する人にとって「良い波がいつ来るか」といった自然のコンディションはとても重要で、かつ自分でスケジュールできない。だからそのタイミングを逃す手はない! ということらしいのですが、普通そんなことを言って職場からサーフィンに行っちゃう人がいたらかなりの問題社員ですよね…。

でもそこには逆転の発想があって、いつサーフィンに行っても差し支えがないよう、責任や計画性や余裕を持って仕事をすること、社員同士カバーしあえるよう、ひとりで抱え込まないでよくコミュニケーションをとること、仕事と趣味のバランスをとって生産性を上げること、などを社員に求め、任せるという真意があります。(これって、「サーフィン」を「子育て」や「介護」に置き換えてみても成り立つ、とても合理的な考えだ思います)

この考え方は日本支社でも生きていて、たとえば店舗のマネージャーもスタッフも、自分が出場するスポーツの大会当日に休みをとることはもちろん、その前は練習時間を多めに取れるようにシフトを組んだり、ということが当たり前に行われているそう。また、店のスタッフ全員でキャンプに行くこともあって、その日は他の店のスタッフが応援にきて代わりに店舗を運営するのだとか。アウトドアライフを楽しむために互いの協力を惜しまない姿勢が根付いているのですね。

スタッフに対する「期待」と「信頼」

印象的だったのが、「期待」と「信頼」は似たような言葉だけど意味が違う。「期待」は見返りを求めること、「信頼」は見返りを求めないこと。その両方のバランスがとれている状態がいいよね、というお話でした。

この違い、私は今まで意識したことがなかったので最初はピンとこなかったのですが、「期待」ばかりかけられている状態では、その組織にいるのが辛くなってしまう。「たとえ失敗しても、あなたにはここで働いていてほしい」という「信頼」も感じられると安心して頑張れる、ということのようです。

辻井さんは支社長に就任して一年たった時期に、会長のイヴォン・シュイナードから「短期的な成果を求めているのではない。この先10年後、20年後の日本にとって良いことをしてほしい」と言われて、肩の力が抜けると共に、とても信頼して任せてもらっているということを感じたというエピソードを話してくださいました。

店舗のスタッフの方が「仕事を始めて驚いたのは、マニュアルがないこと。おおまかにやるべきことは決まっているんだけど、それをどういうやり方でやるかは、一人ひとりの個性に任されている」と言われたのも、やはり「信頼」を大事にしているからなのかな、と思いました。

逆に、「期待」されている感じが全くしないのも張り合いがなくなってしまうので、「期待」と「信頼」のバランスがポイントのようです。

スタッフから会社への信頼

面白いなと思ったのは、登壇された辻井支社長も店舗スタッフのおふたり(社員1名とパートタイマー1名)も、「趣味に時間をとることを認めてくれる」というところに魅力を感じてパタゴニアに入ったという点。そしてその後から、それ以上のパタゴニア魅力を感じるようになったということです。(辻井支社長も、パタゴニアでのキャリアのスタートは渋谷店のパートタイムの店員だったのだそう)

三人とも、働きながらパタゴニアという企業の理念に触れるにつれ、「趣味との両立がしやすい」ということ以上に、この会社で働くことの意義を見出すようになったというのです。

パタゴニアは地球環境の保護にとても熱心な会社で、例えばコットンを栽培するときに使用される殺虫剤や農薬の問題に注目し、96年からは使用するコットンをオーガニックコットンに切り替えています。また、売上の1%を環境保護の活動をする団体に寄付することを決めていて、今までに数多くの活動を支援し続けています。

そもそも、ビジネスは儲けを得るためではなく、環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行するための手段なのだ、というのが会社の信念なのだそう。

お店で働き始めて1年ほど経つというパートタイマーの女性が、「この会社を選んだのは間違いじゃなかった」と、ごく最近になって確信するようになった、と語っていたのが印象的でした。

社員に対しての信頼も大事ですが、社員から企業に対する信頼というのもとても大事だな、と気付かされました。

 

パタゴニアに関しては、いずれ社員の方にじっくりインタビューをさせていただきたいと思います。(いつになるか分かりませんが)お楽しみに!

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