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個人の思いとビジネスと社会をつなげる 第11回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション参加レポート

2016/02/08   更新:2018/11/30

本イベントのテーマは、「働き方の未来」。個人と組織、そして社会。規模の異なるこの3つのファクターを如何にして繋ぐのか―—。それが未来の自分を読み解く上での、キーポイントとなるという考えで、毎回ゲストの話をきっかけに、参加者全員で対話を行っている。

従来の考え方でいえば、「個人が組織の一員として働く。そして、その組織の成果が社会に影響を与える」、といったとらえ方が主流であろう。この場合、個人に主体性はなく、組織の意図、強いては社会のニーズに沿って行動する受身の存在でしかない。しかし、冒頭に示した「3つのファクターをつなぐ」という考え方をとれば、個人が自ら組織、社会との関係性をデザインするという、主体的な生き方をすることができる。

今回もこうした生き方の先駆けとなっている2人のゲストを招き、会場となった日本産業カウンセラー協会神奈川支部(横浜 桜木町)にて、当イベントは幕を開けた。

個人の思いから始まる行動が地域と人を元気にする

株式会社横浜ビール代表取締役 太田久士さん

まず1人目のゲストは、株式会社横浜ビール、代表取締役の太田久士さん。地ビール事業の他に、「地元のビールを地元の食材と共に地元の方々へ」をコンセプトとした、『驛(うまや)の食卓』など、さまざまなレストランを運営している。

そもそも地ビールが好きではなかった、という太田さん。はじめ友だちから事業に誘われたときには断ったが、そんな自分が飲みたいと思う地ビールをつくれば、もっと多くの人に広めることができると考え直し、会社設立を決意。しかし設立後10年は上手くいかず、安売りをしてお客様の質を落とし、結果自分たちのサービスも悪くなるという、悪循環に陥ったという。そこで原点に帰り、地ビールがどうあるべきかを考えたところ、「横浜の人の誇りになりたい」という明確な目標を持つに至ったそうだ。横浜のイメージを醸し出すようなスタイルだけにとどまらず、その街のお酒として、その街の人に親しまれてこそ、地ビールとしての価値が生まれると考えたのである。さらに、直営のレストランを運営することで、横浜、神奈川県内のそれぞれの食材の生産者が、お互いにお互いを引き立てあう、「食の輪」を生み出した。

そんな太田さんが大切にしていることは、「人に会いに行くこと」。生産者に直接会いに行って、食材をいただいてくる。とにかく、その回数が大切なのだという。そこで聴いた生産者の「思い」をお客様に伝えることが、太田さんの仕事の誇りになっている。

現在では神奈川県内に留まらず、被災地である福島県や岩手県、宮城県の生産者の元にも、足を運んでいるそうだ。組織(会社)の利益という観点からだけではなく、個人の「思い」をもとに働いている太田さんの仕事は、結果的に横浜、そして日本国内の生産者を繋ぐ架橋となっている。

ビジネスとコミュニティづくりを通じて社会課題の解決を目指す

ビジネス・コミュニティー・ディレクター 但馬武さん

2人目のゲストである但馬武さんは、現在外資系アパレル企業に勤務する会社員である。しかしその一方で、社会から愛され必要とされる「the last company(最上の、この上ない素晴らしい会社)」を増やす、というビジョンのもと、ビジネス・コミュニティー・ディレクターとして活動する別の顔を持っている。

30歳で子どもが生まれたとき、社会のために何かをしたいという意識が芽生えた但馬さん。そこから環境問題に興味をもち、ダムや原子力発電所の反対運動に参加し始めたそうだ。そして個人の力に限界を感じたときは、会社を説得し、全店でキャンペーンを実現した経験もあるという。

その後、「孫の世代まで地球環境を残す」ために働くことを決意するも、社会は変わらないまま。無力感でいっぱいだった但馬さんは、ビジネスで生じた問題はビジネスでしか解決できない、という考えに至った。そこから自分の所属している会社のような、「the last company」を増やし、会社を変えることができれば、その会社のある地域も変わる。こうした未来に思いを馳せ、現在も活動を続けているそうだ。

そして但馬さんがもう1つ手がけているのが、「コミュニティ」を創ること。自分のような出る杭には、あまり仲間がいない。活動する上でそう痛感したことから、「the last company」を創るためのスキルを学ぶ、勉強会を定期的に開催している。

個人の強い志によって、ときに会社を、ときに社外の人をまきこみ、そしてついには組織自体を創り上げてしまった但馬さんの生き方には、未来の働き方を考える上での重要なヒントがたくさん詰まっていると感じた。

男性社会人が熱く語る姿に刺激を受けた

ワールドカフェの様子

その後は参加者の方たちと、ワールドカフェ形式で、「自分と組織と社会を繋げる方法」について話し合った。多くの人が自分と組織を切り離し、「(個人としての)自分が何をできるのか」ということと真剣に向き合っていたことが印象的だった。特に、「男性は仕事のことばかり考えている」という偏見をもっていた私は、地域に対しての自身の取り組みについて熱く語る男性参加者の姿に、深い感銘を受けた。

個人である私たちが、組織や社会に対してどのように働きかけ、関係を築いていくのか。この答えを自問し続けることは、自分の生き方を主体的に選択し、自分らしい未来を生きることに繋がるのだと強く感じた。

☆☆

文/木納 静穂 撮影/Work Design Lab

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