My Desk and Team

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メンバー3人のスタートアップが東京から2時間のテレワーク拠点で得られるメリット

2015/12/21   更新:2018/11/30

Webやアプリの制作を行うセルフリーは、代表も含めて3名と小規模ながら、東京と熱海の2ヶ所に拠点をもつ。今回は目の前に海が見える熱海オフィスを訪問し、電車で2時間弱という近距離テレワークのメリットや、そのような働き方を選択した背景を聞いた。

熱海駅前

熱海駅前。曇天の平日だったがかなりの賑わい!

通勤0分。ひとりきりの住居兼オフィスで開発に集中

熱海オフィスは相模湾を臨むマンションの一室。打ち上げ花火を観るのにも最適な場所で、階下には24時間入浴可能な温泉もある。

実はここはCTOの本間さんの生活の場でもある。だから本間さんは在宅勤務をしているとも言えるが、代表の小俣さんとデザイナーの畠さんが東京からやってきて仕事をすることもあるので、れっきとした会社の設備。「会社に住んでいる」という感じかもしれない。

「通勤0分」の本間さんに、普段のタイムスケジュールを聞いてみた。

本間皇成さん

「夜遅くまで仕事することもあるので、朝起きる時間はまちまちです。でも、絶好調なときは6時に起きて朝日を浴びながら走ります。それから朝風呂に入ってご飯を食べ、海を見ながらコーヒーを飲むのが最高です!」

毎日10時と18時に3人でビデオ会議をし、今日やること、やったことをシェアする。それ以外に個々人が働く時間に縛りはなく、調子が良ければ9時頃から22時頃まで働くことも。

「リモートワークだと、働き過ぎてしまうんですよね」と言うが、本間さんの場合は「サービスが成功するまでは、何よりも仕事第一」という姿勢で、とにかく開発に集中するために熱海で働くことを望んだというから、確信犯だ。

セルフリーの皆さん

Profile

小俣 隼人 Omata Hayato
合同会社セルフリー代表
立教大学を卒業後、人材紹介会社に営業職として入社。入社一年目から新卒採用プロジェクトに参画し、採用活動に従事。 プロジェクトの完了を機に、入社前から考えていた起業を決意し、同社を退職。その後、2014年7月に合同会社selfreeを創業し、代表を務める。2015年7月には、5分で電話を効率化するクラウド電話サービス「CallConnect」をリリース。趣味は、バスケットボールや旅行。

本間 皇成 Homma Kiminari
合同会社セルフリーCTO
青山学院大学を卒業後、在学時代に独学で習得したプログラミング技術を生かすために楽天株式会社へ入社。同社では、Infoseek ニュースの再構築や楽天サロン、楽天キレイ℃ナビの立ち上げを担当し、Web・スマートフォンアプリ開発の技術を体得する。その後、さらなるチャレンジをすべく同社を退職し、独力で複数のウェブサイトやアプリをリリース。その後、代表小俣と出会い、2015年1月にジョイン。趣味は、フットサルやジョギング。

畠 佑輔 Hata Yusuke
合同会社セルフリーデザイナー
金沢大学を卒業後、広告代理店で大手百貨店のWEBサイトデザインから撮影までを一挙に手がける。在職中にアジア初開催となった自然環境をテーマとしたハッカソンイベント、Green Hackathon Tokyoに参加し、優勝。その後さらなる成長を目指し、同社を退職。そんな折、以前から知り合いだった本間を通してセルフリーの存在を知り、代表小俣の想いに共感し、2015年1月にジョイン。趣味は写真や登山。

「ひとりで集中できる場所」という条件だけなら都会のワンルームでも満たせる。だが、「温泉に入る」「海を見ながら座禅を組んで何も考えない時間を作る」「山の中でランニング」といったことができる熱海ならではの環境も、本間さんのパフォーマンスを引き出すのに役に立っているようだ。

イベントで登壇したり、CTOとして客先に訪問したりと、東京に行く必要も時にはあって、そういう時はできるだけ予定をまとめて上京する。一見不便なようだが、そういった外出の機会を必要最低限に抑えられるというのも、本間さんにとってはメリットなのだそう。

温泉付きオフィスは合宿の場にも最適

取材当日は「合宿中」で3人が揃っていたが、普段小俣さんはあまり熱海に来ることはない。畠さんは、仕事のフェーズによって、本間さんと一緒にいた方が効率が良いと感じるときは1週間くらい滞在するそうだ。

熱海のオフィスは、本間さんの親戚が別荘として所有していたものを格安で譲ってもらったのだという。本間さんがセルフリーにジョインするときから「熱海で仕事をしたい」と希望し、それに小俣さんが賛同したという形だ。

「私も、ひとつのオフィスに縛られて働くことがいいとは思っていませんから、東京オフィスの方も仕事の状況によって在宅勤務OKですし、結果を出せるならテレワークでも問題ないです。ただ、クラウドソーシングのように『こちらで決めたタスクをふる』という関係ではないので、一緒に新しいものを生み出すときなど、会う必要があるときもあります。熱海は『2時間くらいで会える距離』というのも良かったですね」(小俣さん)

同社の主力サービスである「CallConnect」は、3人が熱海で合宿しながら作った。合宿には、チームの力をより引き出す効果があるそうだ。

左から本間さん、小俣さん、畠さん

左から本間さん、小俣さん、畠さん

「寝食ともにすることで、より一体感が感じられたり意識共有ができると感じています」(小俣さん)

「大事なフェーズに限って集まるので、メリハリがあるのがいいです」(本間さん)

「温泉付きなのがすごくいいんですよ。ここで話し合った後に、温泉でリラックスするとまた違うアイデアがふっと浮かぶことが意外とあって。そういうのを繰り返していると結構濃いものができる気がします」(畠さん)

生産性が上がるかどうか、まずは試してみればいい

ここまでの話で、熱海のテレワーク拠点は本間さんの希望ありきで実現していることが分かる。

今後社員が増えて、「自分も熱海で働きたい」とか「それ以外の別の場所で働きたい」という希望が出てきたらどうするのか?

小俣さんは「それで生産性が上がるのであれば受け入れる」と言う。まっとうな考え方だとは思うが、行き過ぎると「社員の希望(わがまま?)を受け入れたけれど、生産性は上がらなかった」ということになる恐れはないだろうか?

「実際にやらせてみるのが一番はやいと思いますよ。それで望むような結果が出るのであればOKだし、そうでなければやめればいい話なので」(小俣さん)

確かに、(あまりコストがかからないことであれば)「効果が出る・出ない」の議論に時間を費やすより、まずはトライしてみて、本当にそれが良い方法なのかどうかを確認するのが、効率がよくてフェアなやり方かもしれない。

一般的に、就業規則やオフィス環境、福利厚生などは、メンバーの生産性やモチベーションアップを目的に組織側があらかじめ(あるいは労働組合などメンバー代表の要求を元に)考えて整備するものだ。だが、これからはそれが変わっていくのではないか、セルフリーの皆さんの話を聞いていてそう感じた。

どんな環境や支援があればもっとも力を発揮できるのか、それは個人の性格や家族の事情、仕事の内容などで異なるものだ。だから組織としては「みんなに一律に適用する規則や制度」は最低限にし、個々人の要求にできるだけ柔軟に応える。個人の側は、自分のパフォーマンスを上げるにはどうしたら良いかを考え、そのために必要なことを会社と交渉する。そういうことができる組織が、強い組織になっていくのではないだろうか。

☆☆
参考:

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取材・文・撮影/やつづか えり

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