社内外の新しいつながりをつくり出す「シェアリビング しょこらぼ」
2013/01/05 更新:2018/11/30
Profile
小和田 香 Kowada Kaori
会社員/非常勤国家公務員/しょこらぼ。
上智大学卒業後、システムエンジニア、コンサルタント、事業企画担当の「働くことは個人と組織のHappy」と思う会社員だった。難治性の病気になり会社に行けなかった時、定年後もやりたい「人生の仕事」がないことに気付く。「できないことの中で、できること」を探すうち、これからの日本の構造的な課題や地域コミュニティでの「共助」の大切さに気付き、プロボノを始める。3.11での震災支援で官民連携のNPO立ち上げ、企業やボランティアなどのチカラをつむぐ仕事を経て、「個人、組織、社会の三方良し」を実現する働き方、くらしに行きつく。みんなのMyProjectを応援し、ソーシャルグッドなことに貢献しつつ、生きるための仕事も続けられるよう、小さな会社のオフィス兼スタジオとリビングダイニングキッチンをシェアし、みんなの夢をかなえる、「ひとりマルチステークホルダー」「パラレルキャリア」実験中。
「ショコラさん」こと小和田 香(こわだ かおり)さんは、大手通信会社と復興庁というふたつの組織に所属し、個人でもUstream番組の企画運営、NPOのソーシャルメディア運用やイベント運営など様々な活動をされる、とっても活動的な女性。
特にユニークなのが、自宅のリビングを「シェアリビング しょこらぼ」として開放し、オフィスやイベントスペース、スタジオなどに活用しているという点。
そのシェアリビングにおじゃまし、仕事の仕方や暮らし方、シェアリビングを始めるにいたった経緯やそのメリットについて、たっぷりお話を伺った。
撮影スタジオにも変身する、広々とした「シェアリビング」
麻布十番にあるマンションの一室を訪れると、小和田さんと一緒にかわいいワンちゃんが出迎えてくれた。小和田さんの愛犬、トイプードルのショコラだ。
この部屋に暮らしているのは、小和田さんと犬のショコラのふたり(ひとり+一匹)だが、大きなテーブルのある広々としたリビングには、日々たくさんの人が訪れる。
ここは文字通り小和田さんのリビングであると同時に、コワーキングスペースやミーティングスペースであり、スタジオであり、サロンやイベントスペースでもあるのだ。
この日はリビングの真ん中に大きな撮影機材が設置され、番組収録のスタジオ仕様になっていた。機材の準備をしているのは、TIME-SHIFTの大渕さんと金子さん。ふたりは、普段からここをオフィスとして利用しているのだという。

インタビュー後、シェアリビングでは小和田さんがプロデュース協力する「Zonostyle Creation Hack TV」の収録が行われた。
会社では、社員だけど社外コンサルタントのような立場
小和田さん自身も、このリビングで社外ワークをして過ごすことが多い。
以前は管理職という立場で勤務していたという小和田さんだが、毎日会社に行かない状況では部下の労務管理が難しいため、現在は部下を持たず、プロジェクトベース、相談ベースで仕事がアサインされることが多いのだそう。
お仕事の内容は?と聞くと、「社員だけど社外コンサルタントのように、社内と社外の間に立って、部門や会社の価値をあげるというのがミッションです」という答えが返ってきた。
小和田さんが所属するのは、大手情報・通信会社の情報システム部門。
業種的にも社内における情報システム部門の重要性は想像に難くないが、これまでは他の部門の要望を受けて動き出すという受け身な面が強かった。小和田さんが今取り組んでいるのは、そんな部門の文化を変えていくこと。部内に約800人いる他のメンバーとは少し異なる視点と立ち位置を活かした、提案や社内外をつなぐ動きが期待されている。
最近推進したプロジェクトは、カスタマーエクスペリエンスを良くするための提言を「システム部門発」で行う、というもの。
情報システム部門には各部門の要望が集まってくるので、それぞれの部門の動きが把握できる。時には、各部門間の動きに一貫性がないことが顧客にとっての不便につながってしまっていることもよく見える。その立場を活かし、あくまで顧客目線での提案をし、会社を動かすという新しい試みとなった。
このプロジェクトに一緒に取り組んでもらった社外の専門家は、小和田さんがTwitter上で知り合った人だという。Twitterでのやり取りを経て勉強会などのリアルな場でも親交を深めるようになり、面白い人がいると、上司と引きあわせたことが後のプロジェクトのきっかけになった。
また別のプロジェクトとして最近取り組んでいるのは、情報システム部門のメンバーにイノベーション、クリエーションをの意識改革を促すための企画。

iPadに手描きの図を描きながら企画を練る。役員向けの説明も、作りこんだプレゼン資料より、手描きでも考えぬいた図の方が意思の疎通が速いのだとか。
「お絵描きパッド」というアプリを愛用している。
“Ideas worth spreading(広める価値のあるアイデア)”というコンセプトで運営されるTEDカンファレンスをお手本に、部門内から選ばれた登壇者10名ほどが、仕事かプライベートかに関わらず様々なアイデアをプレゼンするイベントになる予定。参加したメンバーたちに多様な価値観の存在を知って刺激を受け、「視野狭いぞ、俺たち…」と気づいてもらう。それをきっかけに、組織を超えたコラボレーションなどのアクションを促し、ITを活用したイノベーションが生まれる楽しい組織にしていくのが目的だ。
この通称「部内TED」の取り組みにおける小和田さんの役割は、部門のもつ課題を解決に導く大きな構想を練って役員に提案するところから始まり、具体策としてイベントの実施が決まると、関係者にTEDの映像を見せたり詳しい人を引き合わせたりしてコンセプトや実現イメージを伝え、実際に運営を担当する部署にアドバイスをしたりと、「プロデューサー」と呼ぶのがぴったりだ。

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