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人の力を引き出す「自己効力感」の重要性 第10回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション参加レポート

2015/11/01   更新:2018/11/30

第10回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション
9月19日に開催された、第10回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションに参加しました。第9回も参加しましたが、その時と同様、とても充実した対話で盛り上がりました。

※第9回のレポートはこちらです。
株式会社スマイルズが目指す新しい会社の形 第9回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション参加レポート(1)
会社の中か外かにこだわらず、ライフワークに取り組む方法 第9回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション参加レポート(2)

今回のテーマは、
「創造性溢れる人材が活躍する組織や社会(=エコシステム)を、我々一人一人がどのように創っていくのか」
というなんとも難しいもの。でも、ゲスト3人のお話やワールドカフェを経てなんとなく見えてきた気がするのだから、このイベントを企画運営している皆さんの力量に感服です。

<今回のゲスト>

  • 星野 晃一郎氏
    (株式会社ダンクソフト 代表取締役社長)
  • 市川 博久氏
    (アクセンチュア株式会社 オペレーション本部 インフラストラクチャーサービスグループ マネジング・ディレクター 兼コーポレートシチズンシップ推進室 若者の就業力・起業力強化チーム責任者)
  • 西山 恵太氏
    (株式会社CURIO SCHOOL 代表取締役CEO)

社員の「創造性」を認めることがなぜ大事?

「組織はクリエイティブな人材を必要としている」

こんなフレーズはよく聞きますが、このことを腹の底から実感している人は、実は少ないのでは?

日本の組織や社会は対立の起こらない状態をよしとするところがあり、「創造性溢れる人」、つまり他の人がやっていないようなことをしようとする人は、「扱いづらい人」になりがちです。「社員に創造性を発揮してもらいたい」と言う経営者がいたとして、自分の想定を超えた社員のアイデアを尊重できる人はどれだけいるでしょうか?

今回のゲストであるダンクソフトの星野社長は、社員の発想を活かすということに本気で取り組んでおられ、本サイトでも紹介しているように様々な新しい働き方が生まれています。

※参考
田舎暮らしに海外放浪…。会社員でも自由なワークスタイルを選択できる理由
2つの会社に所属する、「複業」という働き方
基本は在宅勤務、必要ならば出張も 〜柔軟で合理的な働き方が人材獲得の切り札に〜

この他、「就業規則は社員みんなで作る」という話もされていました。勉強などのために休職できる制度や、3年までとれる産休育休、子育て中だと有休日数がプラス20日になるといった制度が社員の発案で作られたそうです。
星野晃一郎さん

社員が何かをやりたいといったら、その人にやらせてみる。それだけでなく,周りも支援する。こういう文化は一朝一夕にできるものではないですが、星野さんは「本気で会社を変えたい」と思ったから、そういう組織づくりをしてきたとのこと。

就業規則については「自分たちで作るから守る、理解する」という効果があるとおっしゃっていました。「自分のアイデアを歓迎される」ということがわかると、組織への愛着も増し、組織のためになる行動をしたくなる、というのはイメージしやすいですね。またIT系中小企業としては、働き方の自由度の高さが人材獲得に有利になるという点も見逃せないでしょう(実際、ダンクソフトには大手企業から転職してきた方も多いとのこと)。

組織を超えた活動が組織のためになる

アクセンチュアの市川さんは、まさに「創造性に溢れる人材」。
新規事業を始めるときに日本のボスを飛び越えて米国本社に話をつけたという30代前半のエピソードからも、破天荒ぶりがうかがえます。その事業が軌道に乗ってからは、CSR活動として若者のキャリア支援や地域の課題解決の仕組みづくりに熱心に取り組んでいらっしゃいます。

市川博久さん

最近公開されたこちらの記事に、市川さんの取り組みの一部が紹介されています。とてもおもしろい内容なので、ぜひご覧ください。

会場からも質問があったのですが、こういう「本業とは異なる取り組み」や「社外の立場の異なる人たちとの協働」は、組織のヒエラルキーの中で進めていく仕事以上に難しいものです。

市川さんの場合、以下のような戦略で「やるべき」と考えることに取り組んでいったとのこと。

  • 本業で結果を出す。
    「あいつをクビにするわけにはいかない」という存在になり、行動の自由を得る。
  • 経営陣の中に味方を作る。
    市川さんの場合、社長(現会長の程近智氏)が、自分を買ってくれる存在だったそう。それ以外のキーマンも、さしで飲みに行ったり、取り組んでいる活動の現場を見せたりして意義のある活動であることを理解してもらい、さらにはメディアに一緒に出してしまうなど巻き込むことで、既成事実化していく。

「社会のため」のこういった活動が、果たして「会社のため」になるのかどうかについては、市川さん自身も最初はわからなかったようです。ですが、NPOや自治体など、多様なバックグラウンドを持つ人たちとのコラボレーションでイノベーションを生み出すという経験は会社の事業にも活かせると気づき、今まさに本業にも還元しようとしているとのことです。

誰にでもあるはずの「創造性」。発揮するには「自己効力感」が大事

子どもはみんな創造性にあふれているけれど、成長するにつれて環境がそれを奪っていくのだ、という考え方があります。今は創造的という言葉とはほど遠いように見える人でも、かつて子どもの頃は自由な発想をしていたのだと。

そんな考えのもと、小学生向けの創造力を育むためのスクールを運営しているのが、CURIO SCHOOLの西山さんです。
西山恵太さん

西山さんによれば、創造力とは、「問いを立てる(問題発見)力」「形にする(問題解決)力」「自己効力感」の掛け合わせで育まれていくものだそう。

創造力を構成する要素

このうち「問題発見」と「問題解決」については、西山さんのスクールで教えている「デザイン思考」を身につけることでうまくできるようになる。でも、「自己効力感」については、スクールの中に限らず、親や先生、友だちなど普段回りにいる人たちが、その子どもの発想や行動をフォローし、認めてあげることが必要になるので、とても重要かつ難しい要素だということです。

周囲から認められ、自己効力感をもてるかどうかが、創造性を発揮できるかどうかの大きなカギになる。これは組織の中の大人でも同じこと。例えば市川さんの場合は、社長が認めてくれることが大きな力になったと想像できます。

ただ、市川さんのお話を聞いていると、様々なことが成し遂げられたのはご本人の粘り強さや戦略性によるところも多分にあると感じられます。市川さんほど粘り強く、戦略的でないとしても、良い環境に恵まれれば創造性を発揮できる人、積極的に動き出す人が世の中にたくさんいるはずで、そういう人たちの力をうまく引き出すのが、それぞれの社員の価値観や発想を認めるダンクソフトのような組織なんだろうと思います。

パネルディスカッションでは皆さんの子ども時代の話や影響を受けた人物の話などもあり、「教育」やというのは生き方、働き方にも大きな影響を与える重要なテーマであることを再認識しました。

ディスカッションの様子

参加者同士がじっくり対話する時間がとられるのも、このイベントの魅力です。

☆☆
文/やつづか えり 撮影/WorkDesignLab、やつづか えり

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