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メールは即レス、月イチ上京で、スムーズな在宅勤務

2015/09/01   更新:2018/11/30

コンテンツの企画制作やシステム構築、コンサルティングなどWebに関する様々なサービスを提供している株式会社ノヴィータ(東京都新宿区)に勤める齋藤有子さんは、新潟で在宅勤務をしている。昨年東京から新潟に転居が決まった時には退社も覚悟したというが、距離が離れても変わらず仕事を続けられているのは、同社の経営者の考え方や、齋藤さん自身のコミュニケーション力に負うところが大きいようだ。

齋藤有子さん

Profile

齋藤 有子 Saito Yuko

株式会社ノヴィータにて社長室に所属し自社事業のプロジェクト管理を行う一方、2015年8月にオープンしたワーママ&ワーパパのためのWEBメディア「LAXIC(ラシク)」の事業部長を兼任。
福岡県生まれ、青山学院大学法学部卒業。
車載音響機器メーカー法務部で3年勤務した後、新規事業部にて携帯課金コンテンツのプロモーションを担当。業務に従事する傍ら、友人に誘われたことがきっかけとなり、2007年には社会人として東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携教育プログラムにて学ぶ。
2008年よりIT企業2社にて携帯コンテンツの企画プロモーションを担当後、現在に至る。
プライベートでは2児の母として仕事と子育ての両立に奮闘中。

成果が同じであれば場所や時間は関係ない

齋藤さんは、「業務に差し障りのない範囲で在宅勤務も可能」という条件でノヴィータに入社した。新潟に転居する以前、東京に暮らしていた時も在宅勤務を行っていたのだ。

とは言え、東京にいるときは常に自宅にいるわけではなく、打ち合わせなどで頻繁にオフィスを訪れたり外出したりしていた。そんなこともあり、家族の事情で新潟に移ることが決まった時は「さすがに、新潟に行ったら続けられないだろう」と、退職するつもりで社長(当時。現会長の小田垣栄司氏)に報告したそうだ。

しかし、社長からは「成果が同じなら場所や時間は関係ない。続ければいいじゃないか」という答えが返ってきた。同社は齋藤さんのように在宅勤務をするメンバーの他に週4日勤務のメンバーもいる。どちらも正式な制度があるわけではなく、事情に応じて個別に調整しているそうなので、経営者を初めとして会社全体に柔軟な働き方を認める文化があるのだろう。

信頼関係と質の高いコミュニケーションを保つ工夫

齋藤さんの担当業務は3つある。

ひとつ目は、秘書業務。会長のスケジュール管理や、会長が考えていることを文章にまとめて役員にメールで伝えるといった社内のコミュニケーションを担っている。

ふたつ目は、自社事業のプロジェクト管理。全体の進行状況を確認し、予定通りに進んでいない場合はその原因を確認し、問題解決をはかる。

そしてもうひとつ、先日スタートした「LAXIC(ラシク)」の運営。これは、働ける時間などに制約のある子育て中の女性と優秀な人材を求めている企業との人材マッチング、およびWebメディアでの関連情報の発信を行う自社事業だ。

「ラシク」は齋藤さんと小田垣会長が話をするなかで生まれた事業アイデアだという。齋藤さんも2歳と4歳の子どもを育てるお母さんで、通常は自宅にて9時から16時の勤務時間でこれらの業務を行っている。

LAXICのWebサイト

LAXIC」のWebサイト

「実際は、16時までだとちょっと足りない」というのが齋藤さんの実感で、いったん16時に中断し、保育園から子どもが戻ってきた後も子どもたちを遊ばせつつ仕事をすることがあるそうだ。

また、メールは常に携帯電話に転送して、いつでも確認をしているそう。

「在宅勤務をするときに一番大事なのは信頼関係です。在宅勤務だと相手にはこちらの状況がわからないので、自分宛てにメールがきたら、すぐに返信するようにしています。『ちゃんと見てるよ』ということを示すために、これは大事なことなんです。すぐに答えられない内容だったら『あとで連絡します』だけでもいいので、まずは返信です」

逆に、齋藤さんの方は会社の動きが分からず、取り残されたような気持ちになることはないのか? そう尋ねると、「幸い、うちの会社はチャットのようにメールでなんでも伝え合う文化があるので、メールを見ていれば状況がよく分かるんです」という答えが返ってきた。

齋藤さんの自宅の仕事場

齋藤さんの自宅の仕事場

また、在宅勤務といっても全く顔を合わせずに仕事を進めているわけではなく、最低でも月に1度は上京することでより深く情報共有をしている。そのときは、義理の母や夫に子どもの世話を任せ、大抵は1泊して2日間東京で過ごせるようにしているそうだ(このインタビューをした日は、2歳の弟は新潟に残し、4歳のお姉ちゃんは会社に連れてきていた。4歳にもなると、iPadで動画などを見ながらおとなしく待っていることもできるのだ)。

「普段のミーティングはSkypeでしますが、電波が悪くて聞き取りづらいこともありますし、話題によっては直接会ってじっくり話すことで仕事がすすむということがあります。そのため、ときどき会社に来て直接打ち合わせする時間を作ったり、そのタイミングで社外の方とお会いしたりしています」

新潟からの移動時間は2時間ほど。「必要に応じて来ることもできる」という距離感は、在宅勤務でも質の高いコミュニケーションを保つのに非常に有利だといえるだろう。

とは言え、移動コストもかかるので東京にいた時ほど気軽に予定を入れられない。

「毎月の出社日をあらかじめ決めているわけではなく、会長と社長の時間が空いているタイミングに合わせて来ます。早めにふたりの予定をおさえるスケジュール管理が重要ですね」

普段は離れているからこそ会える時間を大切にする、そのためには先回りでスケジュールを抑える。こういった工夫が必要になるところは「在宅勤務の大変なところ」である反面、仕事の効率化というプラスの結果も期待できそうだ。

両親の死をきっかけに、柔軟な働き方を重視

齋藤さんは、ノヴィータに入社する時点で新潟への転居が決まっていたわけではない。当時は東京在住だったにも関わらず、在宅勤務という働き方を選んだのには、理由があった。

「私の実家は福岡で、母が亡くなったときはそばにいてあげられなかったんです。その後、父が病気になったときは、『母のときみたいに後悔したくない』と思いました。だから亡くなる前の3ヶ月間、東京と福岡を行き来して看病しました。まだノヴィータに入社する前のことですが、その時の会社も『仕事がまわるならどこでやってもいい』と言ってくれたので、病室にパソコンを持って行って仕事をしたりしていました。その経験があったので、必ずしも会社に行かなくても仕事はできるし、家族のためにもなるべく時間が自由になるような働き方をしたいと思ったのです」

そういう考え方を理解してくれる会社に入り、今は自由な時間の使い方ができるということがとてもありがたいと感じるそうだ。

もちろん、「自由」といっても相手のあることなので、自分の好きな時間だけ働けばいいというわけではない。夜に対応が必要なこともあるが、そんなときも一度仕事を終わらせて子どもの世話や家事をしてから、再び仕事に戻ることができる。

「若いころに働いていた会社では『お付き合い残業』みたいなものがありました。自分の仕事は終わっているのに、誰かを待たなければいけないというような…。そのために子どものお迎えに間に合わなくて延長保育をお願いしたりするのが、すごく無駄だなと思っていました」

ネットがあればどこからでもつながれるようになった今、「その場所で待っていなければいけない」というような制約はかなり少なくなっている。ちょっとした無駄の見直しが、働きやすさにつながる可能性はたくさんありそうだ。

子どもがいても仕事ができる会社、世の中に

齋藤有子さん

現在、会社で子育てしながら働いている女性社員は少なく、まだ子育てと仕事を両立するための制度は整っていない。小さい会社では、社員の様々なケースを想定してあらかじめ制度を整えておくということは難しいだろう。しかし、齋藤さん以外にも結婚している社員は多くいるので、これから子育てのための制度を充実させようという空気が生まれつつあるという。そうすることが、将来子どもができても働けるという安心感につながるからだ。

また、齋藤さん自身はロールモデルの存在が重要だと考えている。

「社会人になりたての頃、仕事で出会ったライターさんが1歳の子どもを隣において仕事をしていたんです。それを見て、『私も子どもがいても仕事ができるようになりたいな』と思いました。その後も、子育てしながら仕事をしている人を見てきたことで、『子育てと仕事の両立はできるはずだ』と考えるようになったんです。『できる』と分かれば、そのためにどうすればいいか考えて、その方向に進むことができます。でも、周りにそういうケースがないと、方向性も定まらないんじゃないかな、と思うんです」

齋藤さんの働き方や新しく始めた「LAXIC」は、同社で働く未来のパパ・ママ社員にとって大きな励みになっていくのだろう。

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取材・文・撮影/やつづか えり(自宅仕事場の写真は齋藤さん提供)

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