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都市で働き、地方に住む「デュアルライフ」実践者の本音 「towner x towner vol.2」参加レポート

2015/08/17   更新:2018/11/30

8月5日、株式会社ヒトカラメディア主催のイベント「TOWNER×TOWNER Vol.2」に参加してきました。

今回のテーマは「都市で働き、地方に住む。実践者が語る“デュアルライフ”の本音」。モデレーターは株式会社ヒトカラメディア取締役でtowner編集長である田久保博樹さん。登壇者は実際にデュアルライフを実践している株式会社ポーラスタァ代表取締役高沖清乃さんと都内某IT企業に勤める櫻井泰斗さん。今回はそんなお二方から、二拠点生活についての本音について伺いました。

デュアルライフを実践するおふたり

高沖さんのデュアルライフについて。

会社の代表を勤めながら母でもある高沖さんは、現在ご自身が生まれ育った長野県伊那市と東京でデュアルライフを実践しています。もともと高沖さんは都会に刺激を求めて18歳で上京。しかし、いざ子育てをする立場になって「東京には子どもが安心して歩ける場所がない」と感じ、デュアルライフを検討したとのこと。その後本格的に二拠点生活を決意したのは長男が小学校に入るタイミングで、「子どもが小さいうちに、田舎で生活させてあげたい」と強く感じ、地元である伊那市に生活の拠点を移すことにしたそうです。

現在月の三分の一を東京で過ごす高沖さん。移動時間は片道約4時間。東京で過ごすときはホテルやAirbnbを利用しているとのこと。これだけ聞くと大変そうに思える二拠点生活ですが、実際に今の生活をはじめてみて、朝起きて「キレイだな」と思える景色があることや、子どもがどこでも安心して低コストで気軽に遊べる環境があるなど、「よかった」と思うことはたくさんあるそうです。

櫻井さんのデュアルライフについて。

現在軽井沢と東京でデュアルライフをしている櫻井さん。東京と軽井沢は電車だと1時間24分。車だとだいたい2時間20分程度。東京の某IT企業の本社に新幹線で出社しているそうですが、IT企業なのでリモートワークもできるとのこと。ちなみに、軽井沢への終電は渋谷発の21時37分だそうです。

もともと東京都府中市出身の櫻井さん。「通勤ラッシュがキツい」という理由から文京区に引っ越したものの、仕事マインドから抜けられなくなってしまい、思い切って軽井沢と東京のデュアルライフに踏み切ったそうです。東京まで通勤もできるし、まわりに温泉もたくさんあり、四季の移ろいを楽しめる。そんな今の生活に切り替えてから、櫻井さんのストレスも大きく軽減されたそうです。

実践者が感じているデュアルライフへの本音。

さて、ここからが本題です。モデレーターの田久保さんからの質問にお二人が回答していく形式でイベントの様子をご紹介していきます。

質問タイム

お二人はデュアルライフをはじめるにあたって、ご家族の理解は得られましたか?

高沖さん:私の場合はすんなり理解を得られました。ただ、地域によって反応が違ったことは事実で、伊那市の人たちはみんな「いいじゃん」という反応だったのに対し、東京の人たちは「大丈夫なの?」という反応でした。

櫻井さん:私は妻の理解を得るのに苦労しました。もともと妻は冷え性だったので、軽井沢に引っ越したいと相談したときに、微妙な反応でした。そこで、実際の生活をイメージしてもらえるよう、軽井沢のベストシーズンとに軽井沢の友人の家に泊まるなど、ちょっとした努力をしました。軽井沢の住宅は寒冷地仕様になっていて暖かいとか、そういったことを知ってもらうことで、妻も現地での生活をリアルに想像できるようになり、なんとか理解を得て、今の暮らしを実現することができました。

逆に、同僚など社内の人たちに関して言えば、すんなり理解してもらえた印象です。しいて意識したことで言えば、日頃から「あいつは18時には帰る」という印象を周囲に与えるセルフブランディングを頑張ったことかもしれません。「まあ、あいつはそうだよな」という印象付けが事前にできていたからこそ、私がデュアルライフをすることになっても、特に同僚からの反対はありませんでした。

家族への接し方、日々の過ごし方は変わりましたか?

櫻井さん:過ごし方で言えば、私は大きく変わりました。今は新幹線で通勤しているのですが、高崎を過ぎたあたりのトンネルに入ると電波が入らなくなるんです。そうすると、もう仕事は諦めるしかないんですよね。だから、仕事と生活の区切りがハッキリするんです。

高沖さん:私の場合、子どもを叱る回数が激減しました。東京に住んでいる頃はしょっちゅう怒っていたのですが、今は本当に悪いことをしたときだけ叱るようになりました。子どもを叱ったあとはいつも、「あんなに怒る必要あったのかな」と考えてしまい、自分自身も落ち込んでしまうことが多かったのですが、今は叱る回数が8割は減ったので、心穏やかに過ごせています。そして、何より夫との関係性もよくなって、家族円満に過ごしています。

通勤時間は、正直しんどくないですか?

櫻井さん:辛いと感じたことはありません。今だいたい片道2時間かけて通勤しているのですが、1日の中でそんなにまとまった時間をとれることってほとんどないんですよね。オフィスだと常に誰かから話しかけられたり、ミーティングが入ったりで仕事に集中できる時間をなかなか確保しづらいですから。新幹線なら誰にも邪魔されるじっくり仕事に取り組めるので、私は今のスタイルが気に入っています。

高沖さん:私もしんどいとは思いません。移動中はだいたい原稿を書いたり仕事をしているので、時間のロスを感じることもありませんし、何より自分と向き合える時間ができたことが大きいですね。家で子どもの面倒を見ていたり、オフィスで仕事をしていると、一人で何かを考える時間がほとんどとれないんです。ここ数年間、自分と向き合う時間というのはほぼなかったので、今はいろいろと考える時間がとれてよかったと思っています。

社員や同僚との関わり方や仕事の仕方は変わりましたか?

高沖さん:はい。これまでは1週間を一つの区切りとしてダラダラと過ごしていましたが、今の生活になってから1週間ではなく2日と3日単位でスケジュールを区切るようになったので、極力無駄を省くようになりました。

櫻井さん:私も効率化を意識するようになったので変わりました。以前勤めていた広告代理店では毎日深夜の2時、3時まで仕事をしてタクシーで帰るような生活をしていて、時間が無限にあると思っていました。今は9時〜18時の中でいかに効率よく業務を終わらせるか、ということを考えてスケジューリングしているので、必要のないミーティングは入れないようにしています。時間は有限だと思うようになってから、職場の人たちとの関わり方は大きく変わりましたね。

デュアルライフはお金がかかりますか?

櫻井さん:どちらとも言えないですね。東京〜軽井沢の定期代は月13万円でガスも都市ガスではなくプロパンなので、交通費や光熱費で言えば正直高いです。ただ、軽井沢は一般道で温泉に行けたりするので、トレードオフで考えればとんとんだと思います。

高沖さん:東京に滞在するときはお金がかかりますが、伊那市は安いローンで東京の3倍くらいの広さの家に住めるので、私もとんとんだと思います。ただ、伊那市は私立学校もないですし、塾もそんなに高くないので、教育費に関して言えば東京より安くなるはず。いずれ伊那市で事業を興すことも考えているので、そうなれば最終的には黒字になるんじゃないかと思います。

ローカルコミュニティーには馴染めますか?

櫻井さん:軽井沢には別荘族、もともと住んでいる人、観光客、外国人など、いろんな人がいるので、まだ特徴がつかみきれていないのが正直なところです。今は誰と一緒にいれば楽しく過ごせるか模索しています。

高沖さん:伊那市の人は謙虚で控えめな人が多いので、東京の人と話すときの勢いで話すと圧が強いことがあるんです。コミュニケーションの取り方も含め、今後どんなキャラ設定でいくか、私も模索中です。

今の生活はイメージ通りでしたか?

櫻井さん:実験もふまえていたので、特にデュアルライフ後の生活をイメージしていたわけではありません。働き方や家族との過ごし方など、自分で新しいスタイルの答えを見つけたいと思っています。

高沖さん:私も事前にイメージをもたずにデュアルライフをはじめました。まずは自分が楽しんでロールモデルになれればいいと思っています。

デュアルライフをはじめて「嫌だな」と思ったことはありますか?

櫻井さん:文京区に住んでいた頃は会社のすぐ近くに住んでいたので、何かあってもすぐに帰宅できたのですが、今は家がオフィスから遠いので「体調悪くなったらどうしよう…」とか、「地震がおきたらどうしよう…」とか、そういった心配はするようになりました。あと、飛行機に乗るときに少々不便さを感じます。朝9時のフライトだと始発に乗っても間に合わないので、アクセス面では大変かもしれません。

高沖さん:お客さんに「長野に住んでます」と言ったら、「大丈夫?」と言われたことがあって、そのときはちょっと嫌な気持ちになりましたね。今の時代はITツールも充実しているので、長野に住んでいても問題なく仕事ができるのに。日本は昔から顔を合わせて打ち合わせをするのが当たり前、みたいな文化があるじゃないですか。海外は土地が広大だから電話会議とか当たり前かもしれないけど、日本はまだまだそういった仕事の進め方に不安を感じる人が多いんだなと感じています。

デュアルライフは大変ですか?

高沖さん:私はあまり大変とは思いません。

櫻井さん:はじめるまでは大変かもしれません。「友だちどうしよう」とか、最初はいろいろ考えました。

デュアルライフをはじめてみて、よかったと思う瞬間は?

高沖さん:子どもたちが自然と触れ合っているときですね。東京ではなかなか触れることができない自然を日常的に感じながら生活できるのは素晴らしいことだと思います。教科書で学べることもありますが、それだと教育っぽくなってしまうので、あまり子どもにはすんなり入らないこともあるかと思います。日常の中で自然に触れながら、命に囲まれた暮らしを当たり前のようにできることが、子どもたちにとって価値のあることだと思います。

櫻井さん:私の場合は妻との時間が増えてよかったと思っています。東京で生活していると何かと便利なので、会話をしなくても済んでしまうことが多いのですが、軽井沢はいい意味で不便なので必然的に会話が増えるんです。あとは、お客様との会話でもデュアルライフが役立っています。「軽井沢ではもうすぐプルーベリーの季節なんです」なんて話をすると、そこでお客様と会話が生まれて関係構築がスムーズになるんです。

最後に、デュアルライフを検討している方に一言お願いします。

櫻井さん:私もなんとなく軽い気持ちでデュアルライフをはじめたので、少しでも興味を持っている方はまず挑戦してみてはいかがでしょうか。私の場合は軽井沢に賃貸で家を借りているので、まだトライアルのようなもの。妻には「2年たったら、定住するかどうかちゃんと考えよう」と伝えています。いきなり家を買うのではなく、まずは気軽にはじめられる方法を考えて、それから本格的にどうするか決めてもいいと思います。

高沖さん:私も少しでも興味があれば挑戦することをお勧めします。私自身「デュアルライフがしたいなぁ」と思ってから実行するまでに6年かかりましたが、もっと早くはじめておけばよかったと思っています。一度芽生えた想いの種は実行することでしか消せないと思うので、憧れで終わらせるのはもったいないと思います。私はデュアルライフをはじめたことで、子育ての考え方や見方が大きく変わり、子どもと過ごす時間の密度も濃いものになりました。特に小さいお子さんがいる方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

文/田尻 亨太

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