My Desk and Team

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自分の会社を経営しながら、スタートアップにジョイン。現職を続けながら社員登用できる制度で、個人も企業もハッピーに。

2015/06/04   更新:2018/11/30

株式会社LiBでは「LiBz メンバーシップオプション制度」を2014年度から開始。他社在籍中の社員や企業経営者、海外在住者やフリーランスなど、あらゆる方が現職を辞めずに社員として活躍できるこの制度により、現在7~8名の方が自分たちの仕事を続けながら、LiBに参画しています。ストックオプションの配布や名刺、メールアドレスも持てるなど社員同様の待遇が受けられるこの制度を活用している井村さんに、お話を伺いました。

井村圭介さん

Profile

井村 圭介 Imura Keisuke

1987年生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、Web制作会社に勤務。その後、フリーランスを経てファンタラクティブ株式会社を設立。同社代表取締役社長に就任。シンガポールで2社のシード期のスタートアップ立ち上げに参加し、帰国後株式会社LiBのチーフデザイナーに就任。WordPressを通じて出会ったオープンソースの文化に興味を持ち、コミュニティの運営にも積極的に参加。共同著書に「現場のプロが教えるWeb制作の最新常識」(エムディーエヌコーポレーション)がある。現在は、時間と場所にとらわれない新しいWeb制作のあり方を目指して活動中。

今回インタビューさせていただいた井村さんはLiBに「メンバーシップオプション制度」が導入されるきっかけをつくった人物。現在はご自身で会社を経営しながら、メンバーシップオプションを利用して週4日間LiBで働いています。今回は井村さんのお話を通じて、未来の働き方のヒントを探りたいと思います。

自分で会社を立ち上げるに至った経緯は?

もともと大学ではプロダクトの勉強をしていたので、まさか自分がWebの仕事をやるとは思っていませんでした。僕が就活をしていた当時はリーマンショックの直後でメーカーの新卒採用が減ったこともあり、軒並み就活に失敗してしまいました。そこで、大学卒業後はプロダクトデザインをしていた父の仕事を手伝っていました。その中で自社サイトの制作もするようになって、面白いなと。Webのことを1年かけていろいろ独学し興味を持ちました。

それから制作会社を受けて、最初に内定をもらったWeb制作会社に入社しました。広告代理店を通さないクライアント直の仕事が多かったので、やりがいもありましたし、コーポレートやメディアサイトなど、いろんな仕事ができたのですごく勉強になりました。Web制作会社は残業も多くてキツイという印象がありますが、僕の場合は仕事の裁量も大きくて、帰れる日は早く帰るということが自分の判断でできていました。だから環境もよく、社内の雰囲気も良好でした。今でもその会社の人たちとご飯を食べにいきますし。

だだ、やっぱり制作会社だと見積の範囲内でしか仕事ができなくて、それが少し自分の中でモヤモヤした気持ちにつながっていって、それで独立という決断をしました。ちょうど当時担当していた大型メディアのリニューアルプロジェクトがひと段落して、やるなら今しかない!という気持ちで、思い切ってフリーになったんです。

とくにこれといってあてがあった訳ではありません。ただ、会社員時代にデザインと並行してコーディングも勉強していたので、一通りのことはできるようになっていました。それで、独立したての頃は、知り合いからWordPressを使ったサイトの構築などの仕事をもらうところからスタート。ありがたいことに仕事は途切れることはなく、1年間ひたすらつくって納品して、を繰り返していました。

正直、そのときは仕事を増やしすぎて、1案件にさける時間が少なくなっていました。そうすると当然クオリティも下がりますし、クライアントにとっても自分たちにとってもいいことではないな、と思ったんです。本当に価値のあるものをつくりたい。クオリティをあげることに集中したい。売上は下がっていいので、むしろより良いものをつくることに専念したい。そんな気持ちが日に日に強くなって、それで同じ歳でフリーランスをやっていた塚口君にお願いして、仕事を手伝ってもらうようにしたんです。その流れで、2014年7月にファンタラクティブ株式会社を立ち上げました。

実は、ちょうど同じタイミングで「シンガポールで事業を立ち上げたい」という方から連絡をいただいていて、海外にも行ってみたかったので、とりあえず3ヶ月だけ一緒にやろうということで、シンガポールでスタートアップに参画したんです。それがちょうど2014年の6月~10月。7月はファンタラクティブを立ち上げるために一時的に帰国して、そのあとまたシンガポールに戻って事業の立ち上げをする、というちょっとハードなことをしていました。

LiB社長からの“複業”の誘い

そんなとき、LiBの代表である松本さんからFacebookでメッセージをいただき、「デザイナーを探しているから、一緒にやりませんか」と声をかけていただきました。本を書いたり、登壇したり、メディアに出る機会も多かったので、いろんな人から連絡はいただいていたのですが、まさか社長からダイレクトにメッセージをいただけるとは思わず、すぐにランチをする約束をしました。

まだシンガポールのプロジェクトは稼働中でしたが、8月にいったん帰国して、LiBの社長と会うことに。はじめてなので、「御社のサイト知ってますよ!」という話題から入っていこうとしたら、突然「うちの会社にきてほしい!」とお願いされて、嬉しさ半分驚き半分のような状態。「ビズリーチさんのCTOも自分の会社を経営しながら働いている。君もそんなワークスタイルでかまわないから」と、事例を交えながら、自分の会社を続けながらLiBで働いていいと言っていただけて嬉しかったですね。

そのときはシンガポールの件もあったし、塚口君と経営している会社のこともあったので、「一度考えさせてください」といって、すぐに回答はしませんでした。ただ、その日の夜にLiBのエンジニアの米山さんが登壇するイベントに招いていただき、その流れでLiBの方々と一緒に飲むことになったんです。そこで意気投合して、次の日の会議にも参加させていただきました。驚いたのは、飲んでいるときと会議に参加しているときの顔つきが、みなさん全く違ったこと。一人ひとりの発言や会議のレベルが高く、「凄いメンバーだ! この人たちと一緒に働きたい!」と思い、自分の会社を続けながらLiBで働くことを決めました。

井村さんがリニューアルデザインしたというLiBのロゴマーク

井村さんがリニューアルデザインしたというLiBのロゴマーク

複業のメリットは?

今は週4日LiBで働いています。社員としての席も用意してもらっていますし、福利厚生として社内のレッドブルも飲み放題なので、ほぼ社員と変わらない待遇です。朝は他の社員の方と同じ時間に出社しますが、定時などは特に決まっていないですし、自社の会議があるときは自由に外出することも許可されています。自分の会社を畳むつもりは一切なかったので、このような働き方ができることはやりたいことがある人にとっては大きなメリットだと思います。私は自社を一緒に経営する塚口君のことも大事に思っていますし、LiBの仕事もやるからには成功させたいと思っています。やりたいことを諦めず、新たなことにも挑戦できるので、とても理想的な働き方だと思います。

複業を継続させるためのポイントは?

通常、人を増やしたりして会社を成長させることを考えると思いますが、今はそれは諦めて、自分と塚口君のふたりでできることをやっていこうとしています。あとは、労働時間でお金をもらうのではなく、コミットした成果で報酬をもらうというのもポイントです。フリーランス時代にお客さんのために稼働する時間数を決めて固定の報酬をもらうという働き方をしたことがあるのですが、お客さんもどれだけ私が仕事をしているかわからないため、信頼関係がなかなか築けなかったんです。そのときの経験がすごく活きていて、「月何時間働きます」より「これをやりきります」といった方が信頼して任せてもらえるし、自由度も増すと思います。

井村さんのような柔軟な働き方をしたい方にアドバイスがあればぜひ!

私も会社を辞めるときは崖下が見えない状態で、飛び降りることに恐怖を感じました。けど、私の周りの成功している人たちや楽しそうに働いている多くの人たちは、崖から飛び降りている人がほとんど。もし少しでも現状を変えたいと思っているのなら、勇気を持って半歩踏み出してみてはいかがでしょうか。あとは、本当に仕事が好きかどうかも重要なポイント。仕事とプライベートをわけるような人には正直私のような働き方はお勧めしません。「なんで大変なのに2つのことをやっているの」とよく聞かれますが、私の場合は結果的に2つになっただけで、仕事を大変だとはあまり感じません。もし仕事が好きで、今の環境を変えたいと思っている方は、LiBでも新たな仲間を募集しているので、以下のサイトもチェックしてみてください!

文/田尻 亨太 撮影/田尻 亨太、やつづか えり

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