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株式会社スマイルズが目指す新しい会社の形 第9回「働き方と組織の未来」ダイアローグセッション参加レポート(1)

2015/05/24   更新:2018/11/30


5月18日、「働き方と組織の未来」ダイアローグセッションに参加しました。第9回目になるこのイベントは、個人と企業の双方の立場からひとりずつ、新しい取り組みをしているゲストを迎え、ふたりの話をきっかけに参加者みんなで「働き方の未来」について対話をするというもの。以前からとても気になる会だったのですが、この度やっと参加することができました。

今回は企業側の立場から株式会社スマイルズの田原研児さん、個人の立場から大手情報サービス企業に勤める幸田泰尚さんがゲストで、おふたりともとっても刺激的な話をしてくださいました。

まずは、スマイルズの田原さんのお話から紹介します。

「3年間で50社作る」目標で、社内をワクワクさせる

田原研児さん
2014年1月に人事部長としてスマイルズに参画した田原さんは、自分自身のミッションを「個人の強みを引き出して未来をつくること」だとおっしゃいます。それは、田原さんがこれまで経験してきたそれぞれの組織(すべてオーナー企業)で、ビジネスを通じて思いを体現するオーナー達の姿を見てきたということ、人事の仕事を通して組織の中で働く様々な個人と接してきたことが大きく影響しているようです。

そんな田原さんがスマイルズに入社した決め手のひとつは、社長の遠山正道さんが「世の中の体温をあげる」という会社のミッションを等身大で語っていたことだといいます。立派なお題目を掲げていても、それが借り物のように浮いている会社も多いもの。スマイルズの場合は、本気でかつ真面目にそのミッションに取り組んでいて、自分の思いがここでなら実現できそうだと感じたのかもしれませんね。

入社直後、田原さんは「3年間で新しい会社を50社つくる」という提案をしました。同社では小売の現場で働く社員が多く、楽しんで仕事をしているものの、それぞれが目の前のことに追われて未来について考える機会がなかなかないという問題意識があったようです。田原さんは「3年後に50社」という未来を示すことで、みんなのワクワクする気持を高めようと考えました。「世の中の体温をあげる」ためにはまずは社員からワクワクしなければ、ということですね。

大企業でもないのに3年で50社というのは壮大な計画に思えますが、ひとりひとりがやりたいことを考えれば、社員の人数分くらいの新しい事業が生みだせるのではないか、というのが田原さんの考えでした。スマイルズには、仕事は「作品づくり」であるという考え方があります。儲かるからやるのではなく、「世の中にこんなものがあったらいいんじゃないか?」そんな個人のユニークな着眼点や思いを大切にしようということです。「これをやったら儲かります!」という提案をそれぞれが作るのは難しいかもしれませんが、「私はこんなサービス・商品があればいいと思う」ということなら、確かにみんなができそうな気がしますね(もちろんすべてのアイデアが会社化につながるわけではなく、その中から良い物を選んで企画をブラッシュアップし、事業化をサポートするというプロセスがあり、会社にはベンチャー推進室もできたそうです)。

現業で忙しい社員を巻き込む方法

面白いな、と思ったのが、社員の巻き込み方でした。担当業務を持っている人にいきなり新しい会社のアイデアを出そう、と言ってもなかなか難しい。そのため、最初はちょうど入社してきたばかりの新入社員たちに事業の提案をさせたそうです。そうすると、既存の社員から自分もやりたいと言い出す人が出てきたとのこと。社内の雰囲気作りって大事ですね。

そして、様々な事業が立ち上がっていく中、その動きをさらに加速したのが「全社員社長会議」という一泊二日のイベント。「みんなもやろうよ。みんなが社長だったら何をしたいか、全員で考えてみよう」、そう言って、みんなで新しくやりたいことを考えてみた。そうすると新規事業の提案が約80件、社内新制度やイノベーションにつながる提案がそれぞれ約60件、合計200件ほどの提案が出てきたそう。

スモールカンパニーがネットワークする、ビジネスの生態系を創りたい

それと前後して、社内では兼業を推進するガイドラインも策定したそうです。基本的には、信頼をベースに自由にできるようにし、ルールでしばるつもりはないということですが、ガイドラインとして明文化したのは、会社が兼業を認める目的を明確にするためだったとのこと。スマイルズでは、兼業が社員のモチベーションや市場価値の向上に寄与する上、会社のビジョン・ミッションを実現していくためにもプラスとなると考えているようです。

「100億の会社が1つより、2億の会社が50社のほうがユニークで、エネルギーは半端ないと思おう」と田原さん。個々人が自分の思いを実現するためにスモールカンパニーを立ち上げつつ、それがネットワークすることでスケールメリットも生まれるという「ビジネスの生態系」が、スマイルズを中心に形作られていくような未来像を思い描いているそうです。それには個人が自立していながら、それでも何か魅力を感じて集まってくるような組織づくりが求められるでしょう。前例が少ない中で難しいこともあるかもしれませんが、今後の展開が楽しみです。

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文/やつづか えり 撮影/WorkDesignLab、田尻 亨太

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