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仕事だけの人生にNO! 週休4日の実験が始まる理由

2014/09/05   更新:2018/11/30

「ゆるい就職」説明会に行ってきた

先日、「ゆるい就職」の説明会を覗いてきました。

「ゆるい就職」のWebサイト

「ゆるい就職」のWebサイト

「ゆるい就職」とは、これまでの「週5日勤務」という「あたりまえ」を崩す「週休4日、月収15万円」という新しいワークスタイルを模索する実験的プロジェクト。仕掛け人は、全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生のまちづくりユニット「鯖江市役所JK課」などを企画してきた人材・組織コンサルタントの若新雄純さん。運営は、人材サービス会社の株式会社ビースタイルが行います。 具体的には、「週休4日、月収15万円」という働き方を希望する新卒〜25歳くらいの若者たちを募り、彼らがどういう働き方やライフスタイルを求めているのかなどをワークショップで議論しながら、一人ひとりの希望に応じて週休4日で働ける企業に紹介・派遣していくというプロジェクトです。実際に参加者が働き始めた後も、参加者同士がオンライン上や定期的なイベントで集まって情報交換などをするコミュニティを作っていくというのも、一般的な人材紹介・派遣にはないユニークな試みです。 果たして月15万で生活していけるのか、その後のキャリアはどうなるのか、そもそも雇ってくれる企業があるのか、などなど、従来の「週5日勤務」の常識に浸かった頭だと疑問も色々思い浮かんできます。でも、このプロジェクトに可能性を感じている若者はかなりいるようで、当初のアナウンスでは1回だった説明会が3回になり、すべて事前に満員になっています(各回の参加人数は4,50人と思われます)。それから、テレビなどの取材も入っていて、世間の関心の高さも窺えました。 参考) 「週休4日の働き方」 実現目指し説明会 NHKニュース  週休4日、月収15万・「ゆるい就職」説明会に集まった高学歴の若者たち – プレジデント なお、事前に聞いたところだと男女比は約7:3で、上位レベルの大学出身者(または在学者)が比較的多く、芸大生もいたりするとのことでした。 説明会では、若新さんよりプロジェクトの背景やねらいの説明があった後、参加者同士のグループディスカッションとその内容を踏まえた参加者と若新さんの対話、質疑応答などが行われました。 週3日働き、それ以外の4日は違うことをするということは、生活の中で仕事以外の要素の比重が大きくなるということで、人生と仕事の関係について疑問を持っていたり、突っ込んで考えている人が多く、ディスカッションやそれに続く若新さんとのやり取りがとても興味深かったです。

彼らが「週休4日」を求める理由

「週休4日をどうしたいのか」をテーマにしたグループディスカッションでは、彼らがなぜ「週休4日、月収15万円」という働き方に興味をもったのかが語られました。

ディスカッションの様子

多数派は「仕事中心でない人生を送りたい」という人たちです。その中でも最も多そうなのが、趣味や芸術活動、勉強、自分の夢(独立・起業など)に向けた準備などに時間を使いたいというもの。仕事より他にもっと大事なことがあって、週末の2日だけでは時間が足りない、という意見に頷いている人が多くいました。 また、すでに仕事をしている場合、今の働き方に疲れてしまっている人も多いようです。毎日長時間残業を余儀なくされていて辛いので、もっと勤務時間を限定できる働き方をしたいと切実に訴える人もいれば、休みが週に2日だけだと、5日間働いた疲れを回復し、最低限の用事を済ませることくらいしかできないという人も。 若新さんはこれに関して、週5日働く会社員というのは「人生フルコミット」状態になっているのだという言い方をされていて、なるほどなぁと思いました。つまり、周りが残業していれば自分だけ断るわけにもいかず、週末も仕事に差し障りのないよう羽目をはずすこともできないという風に、1日8時間週5日という契約上の時間以上に、仕事優先の毎日を送らなければいけなくなっているということです。 個人的には、「休みを贅沢に使いたい」という意見がとてもおもしろいと思いました。いわく、本当は休みの日は一日中アニメを見たりゲームをしたりしたいと思うけれど、休みが週2日しかないと1日中そんなことをするのももったいないな、と感じてしまってできない。遠くまで旅行に行きたくても、2日ではいけない。もっと休みを贅沢に使いたいんだ!という意見です。 確かに、年末年始の休みとかゴールデンウィークとか、ある程度長い休み中は気持ちに余裕ができて「今日くらいいいよね」とゴロゴロする日がある一方、普段の週末は少ない休みの日を有効に使わなきゃ!と気合が入りすぎて疲れてしまうことってあったりします。そんなにあくせくしないで、もっとゆったり休みを過ごせる余裕がもてるといいですよね…。

幸せの形はもっと多様に

15分ほどのグループディスカッションの中で、すごくたくさんの「週休4日の使い方」が挙がった他、週3日勤務を2社でやってもっと稼いだり経験を積むということだってできるかも、というアイデアも出てきたりして、働く日数を変えるだけで人生と仕事のあり方のバリエーションが広がるなぁ、ということをすごく感じました。 一方、この「My Desk and Team」の取材をしていると、週5日フルタイムで働きつつプロボノや趣味にも邁進されているような方々にもたくさん出会いますので、若者が「週2日の休みじゃ何もできない」なんて言っているのを聞いたら「甘い」とか「本気度が足りない」なんて批判したくなる人もきっといるだろうなぁ、と思います。 でも、週5日バリバリ働いた上で社外の活動も頑張れるパワフルさは個性のうちで、その逆の個性だってある。すごくパワフルな人しか色々なことに挑戦できないというのは、多くの可能性をつぶしているのかもしれません。また、仕事で充実感を得て喜びを感じる人もいれば、全くお金にならないことに幸せを感じる人もいる。後者の人は、最低限暮らしていけるだけの収入を確保して、最大限の時間と体力を仕事以外の好きなことに費やすことも認めるのが、多様性のある社会なのでしょう。みんなの議論を聞いていると、そんなことを認識させられました。(ちなみに『「やりがいのある仕事」という幻想』という本は、後者のタイプの人のかなり突き詰めた考え方が書かれていて面白いです)

社会の変化に仕事観の変化が追いついていない

若新さんからは、幸せの形が多様化し、今までの働き方では満足できなくなっているのは、時代の必然だという説明がありました。 若新さん 高度成長期、まだ生活が豊かになりきっていない時代は、幸福は「新しいものを買う」とか「楽しい場所に行く」といった「非日常の体験」からもたらされるものだった。そして、買いたいものや遊びに行きたいところはみんな同じで、仕事は頑張れば頑張るだけ給料が上がるものだった。だから、5日間我慢して働けば週末には、あれが買える! あそこに遊びに行ける! といったワクワク感をみんなが感じ、みんなが同じように頑張ることができた…。幸せの形やその叶え方が一様だったんですね。 でも今は、生活に必要なものはすでにあるのが普通。みんなが同じものを手に入れて幸せを感じるという時代ではなくなって、人それぞれ異なる、日常の小さなことに喜びを感じる時代へと変化しています。さらに、仕事を頑張っても給料は上がらなくなってしまった…。 そんな風に時代は変わっているのに、世の中の仕事観は「頑張って働けば幸せになれる」というところから変わっていないから、違和感が生じているのだというのです。 若新さんは何度も、このプロジェクトは「実験」だと強調していました。実験だから、どのような結果が出るかはわからない。ただ、やってみることで新しいスタイルが見えてくることは確信していると。 仕事と人生の関係や、仕事にどの程度思い入れを持つかといったことは、もっと人それぞれ多様であって良いはず。ただ、人それぞれだからこそ、そう簡単にはベストなスタイルは見つからないでしょう。だから、週3日働いて4日休むという実験をしてみて、4日休みがあればこんなことができた、という発見をしながら、自分にとって幸せな生き方、働き方を探す、そんな「寄り道」としてこのプロジェクトを使ってほしい、そんな思いが伝わってきました。

新しい働き方、暮らし方が生まれることに期待

説明会の参加者の中から、実際にプロジェクトに参加したいという希望者を募って、今後はワークショップや起業とのマッチングが行われていく予定です。それらのプロセスも取材しつつ、実際に週休4日で働き始めた人の中から新しい働き方、暮らし方が生まれてきたら、ぜひこのサイトで紹介していきたいと思います。

文・撮影/やつづか えり

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