My Desk and Team

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新しい働き方を実現するためのチームでのアイデア出しのススメ

2014/08/06   更新:2018/11/30

先日「子育て世代を活かしてチーム力を高める働き方ワークショップ」というイベントに参加しました。(イベントの開催概要はこちら

「子育て世代を活かすチーム戦略」をテーマとした連続セミナーの4回目にあたるもので、これ以前の3回のセミナーについては、主催のWorMo’のサイトで開催レポートが読めます。

1.チーム力を上げるイクボスとは?
2.ワーキングマザーが知っておくべき処世術
3.夫が考えるべき仕事と育児の両立とは?

タイトルを見ると分かるように、3回めまでは子育て世代のメンバーを持つ上司、ワーキングマザー、ワーキングファザーをテーマに、それぞれ講演とワークショップが開催されました。
今回は最終回ということで、3回のワークショップで出てきた上司、ワーキングマザー、ワーキングファザーそれぞれが抱えている課題をおさらいした上で、「子育て世代を活かすチーム」作りをするためのアイデアを出すワークショップをする、という内容でした。

私も含めて今回が初めての参加という人が多かったのですが、ユニークで魅力的なアイデアがたくさん出て、実りある時間となりました。

出てきたアイデアの一部を紹介します。

  • 週末や夜に仕事をしなければいけないけれど子どもの預け先がない!というときに、上司や上司の奥さん、会社のOBなどがシッターをする
  • 子どものいる社員が子連れで出勤できる日を作り、その日は同僚が交代で子どもの面倒を見る
  • ワーキングマザーやイクメン、イクボスのロールモデルがいない会社に、他社からロールモデル人材をレンタルする

すぐに実現するかというと難しそうですが、とってもユニークだし、可能性のあるアイデアだと思いませんか?

良いアイデアが出た理由

このときユニークで魅力的なアイデアが出た理由は

  1. いろいろな立場の人が(パパ、ママ、部下を持つ上司の他に、そのどれでもない、という参加者もいました)
  2. 共通の課題を認識し
  3. 自由にポジティブに考えたことを
  4. 積極的に出しあい
  5. 全員参加でブラッシュアップした

ということだと思います。

3,4,5に関しては、以下のようないくつかの手法を組み合わせたワークショップのプロセスが、とても有効に作用していました。

  1. 「マンダラート」というシートを使って、まずは個人でアイデアを出す。
  2. 「スピードストーミング」という方法で、5人くらいの相手とアイデアを交換し合う。
  3. 2を経て自分の中で「いい!」と思ったアイデアを3つ選び、ひとつのアイデアに付き1枚のA4用紙に、タイトルと補足説明を簡潔に書く。
  4. 3を並べ、全員で見てまわる。良いと思ったアイデアの用紙に星印を書き入れていく。
  5. 星が多く集まったものをいくつか選ぶ。
  6. 5で選んだ各アイデア毎に数人のグループを作り、簡単な企画案に落としこむ。
  7. 6を全員の前で発表しあう。

2の「スピードストーミング」について解説した記事があったので引用します。

Speedstormingの方法

【1】二重の輪になります。フォークダンスの構造に。
【2】発想のテーマを確認し、5分間ペアで、アイデア出し。
※ 簡単に自己紹介(名前と普段取り組んでいること(仕事や作品)を
手短に紹介しあう。
ブレストの仕方は各自の自由。
【3】5分経過の合図で、外側は、時計回りに一つずれ、
新しいペアで、また5分間、アイデア出し。
【4】5~6回繰り返す。(時間にして30分ぐらい)
Speedstorming(スピードストーミング)の方法より)

これをした後に3でみんなが書きだしたアイデアを見ると、自分も含むいろいろな人が話していたアイデアがミックスされて進化していることが分かって面白かったし、自分のアイデアが活かされている!と感じることもできて嬉しかったです。

参加者それぞれの発想に光を当て、みんなが参加感を持つことができる、とても良い方法でした。だからこそ、ひとりで考えていては絶対出てこないような面白いアイデアが生まれたのだと思います。

メンバーの課題に対してみんなでアイデアを出す体験がチーム力のアップにつながる

このワークショップを経て、仕事上のチームでも、あるメンバーの働き方に関する課題についてみんなでアイデアを出し合うという活動がとっても有効なのは?と思いました。

企業によるワークライフバランスの推進や育児支援策としてよく挙がるのは、育休や時短勤務、在宅勤務などの制度を整え、活用促進をすることです。
しかし、こういった制度の導入・推進は経営者がコミットしてトップダウンで進めていくのがポイントで、トップが課題を認識してくれるまでは、そのような制度面でのサポートがなかなか期待できません。
ですが、今の制度の範囲内でもチームのみんなでアイデアを出し合って合意すれば改善できることが結構あるんじゃないか、今回出てきたユニークなアイデアを見ていてそういうふうに感じたのです。
(中にはチームのレベルでは決められないような大がかりなアイデアもありましたが、それも単なる個人の希望ではなくチームのみんなで作った提言であれば、会社に提言しやすいかもしれません)

もちろんよいアイデアを出すためには、特定のメンバーの課題に対して、他のチームメンバーが「解決したい」と思ってくれなければいけません。
例えば、子育て中のメンバーがの困り事を解決することがチーム全体にとってどんな意味を持つのかを考えるところから始めるとか、子育て中の社員に限らずみんなが共通で感じている課題をテーマにするとか…、そこはチームのリーダーの腕の見せどころです。
それがうまくいくと、あるメンバーの抱えている課題について他のメンバーも一緒になって解決策を考えるという経験は、チーム内の相互理解や助け合いの意識作りに大きく寄与し、チーム力のアップにつながるでしょう。

メンバーは理想の働き方を表明するところから。上司はそれをチーム力アップの機会に。

今までたくさんの「新しい働き方」している方たちを取材してきた中で、会社には希望する働き方が実現できる制度はなかったけれど、上司に相談してみたら、最終的には希望の働き方が実現した、というケースが結構ありました。

「制度がないから」「うちの会社では無理だから」と、相談もせずに組織を去る決断をしてしまうのは、本人にとっても上司や同僚にとっても不幸です。
新しい働き方をしたい人には、困っている状況や「これからはこんな働き方をしたい」ということを表明し、相談してみて欲しいです。そうすると、意外と道はひらけるかもしれません(もちろん、「制度がない」「前例がない」と突っぱねてしまう頭のカタイ上司も少なくないでしょうが、まずは相談してみないことには始まりません)。

相談を受けた上司の側の対応方法として、これまでの取材では、相談を受けた上司の方が自分の裁量の範囲で柔軟な働き方を認めるとか、人事や会社に掛け合って新しい制度を導入するといった形で解決した例が見られました。
それらと比較して、チームメンバーと一緒に解決策を考えるという方法は、上司と本人だけでは思いつかなかった解決策が出る可能性があり、他のメンバーの納得感も得られやすく、チーム力のアップも期待できます。
ぜひ試していただきたい方法です。

☆☆

(2014.8.21追記)
主催者のWorMo’のサイトにも、当日のレポートが掲載されました。こちらも合わせてどうぞ!
チーム力を高める働き方 ワークショップ

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